日本共産党第21回大会

アメリカ帝国主義の世界戦略と軍事同盟解消の課題

1997年9月25日付「しんぶん赤旗」


 大会決議案と中央委員会報告の全面的支持を表明し、クリントン政権の世界戦略と、軍事同盟解消の課題における日本の国際的使命について発言します。

 本来軍事同盟は、仮想敵国の存在を前提とするものであり、仮想敵国だったソ連とワルシャワ条約機構が解体した以上、NATO(北大西洋条約機構)も日米軍事同盟も当然解体されるべきです。

 アメリカ帝国主義は、北朝鮮、イラン、イラク、リビアなどの「ならず者国家」の「脅威」なるものをもちだして、「強大な軍事同盟と核兵器をもちつづける必要がある」とNATOと日米軍事同盟の拡大を強行しています。

国際的な共同課題がうきぼりに

 第一に、この挑戦に対抗して、いくつかの国際的な共同課題が鮮明になってきたことを指摘したい。

 ソ連崩壊後のクリントン政権の世界戦略は、前大会決議がのべたように「強大な軍事力を背景」にした「世界共同体の拡張戦略」です。アメリカ的な「世界共同体」をめざすうえで、軍事的覇権主義は経済的覇権主義と有機的に結びついています。

 三十三年以上米海兵隊に勤務した元米海兵隊司令官バトラー少将は、「この期間、私はその日々のほとんどを、大企業とウォール街と銀行家のための高級雇われ暴力団員として過ごした」(笑い)と回顧しています。

 アメリカ多国籍企業の世界的規模の進出と、それを保障するための核脅迫政策と米軍の常時戦闘体制の構築と拡大は、世界各地で矛盾を拡大し、抗議と反対を生み出しています。世界の民主勢力にとって、多国籍企業の民主的規制、南北問題の解決、核兵器廃絶、軍事同盟解消が相互にむすびついた共同の戦略的国際課題となっています。

軍事同盟解消へのアジア独自の有利な情勢

 第二に私は、軍事同盟解消の課題について、アジア独自の、あえていえば有利な特徴をもつ情勢が発展していることに注目したい。

 その一つは、ヨーロッパではNATO拡大がロシアとの関係で議論されているのにたいし、アジアではガイドライン見直しなど日米軍事同盟の拡大強化が、対米従属のもとでの日本軍国主義の復活として重視され、厳しい警戒の声があがっていることです。

 もう一つの独自性は、中央委員会報告が指摘しているように、アジア・太平洋地域では非同盟諸国が大多数を占めていることです。中東を除き二十三カ国を数えるアジア諸国のうち、非同盟諸国会議に参加していないのは日本、韓国、中国の三国だけです。

 私は、昨年参議院調査団の一員としてASEAN五カ国を訪問し安全保障問題で討議をかわしました。どの国も大国にたいして自主性をもった、軍事同盟に頼らない平和的な方向でアジアの諸問題を解決しようとしていることが印象的でした。

 現在沖縄のたたかいは、世界でもっとも強力な米軍基地撤去運動となっています。憲法をじゅうりんし日本をアメリカの戦争に自動的に参戦させるガイドライン見直しにたいする反対運動は大きな展開をみせつつあります。日本の安保条約廃棄の運動は、今世界でもっとも有力な軍事同盟解消運動であるといえるでしょう。われわれの運動が勝利するまでにはさまざま困難がありますが、日米安保条約を廃棄し、世界第二の経済大国でもある日本が非同盟運動に合流すれば、非同盟運動はさらに前進し、アメリカ帝国主義の覇権主義的世界戦略をうちやぶる推進力となるにちがいありません。(拍手

 この「日本の新しい進路への国民多数の共感と支持」をかちとるため強大な日本共産党の建設のために全力をあげることを誓って、発言とします。(拍手


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