日本共産党

成田空港民営化法案 反対討論

2003年7月10日 参議院 国土交通委員会 日本共産党 富樫練三議員

 私は、日本共産党を代表して、成田国際空港株式会社法案に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、成田空港の民間会社化は、公共性の高い日本の空の玄関口、その管理運営についての国の責任を放棄することにつながるからであります。

 そもそも成田空港は、空港整備法上の第一種空港として、本来ならば国土交通大臣が設置、管理する空港であります。しかし、これに代わるものとして、新東京国際空港公団法に基づいて公団が設置、管理してきたものであります。国際拠点空港として公共性が極めて高いからこそ、広大な用地の買収や造成など莫大な初期投資に対し、国からの出資や財投資金が投入されてきたものであります。すなわち、成田空港は国民の財産であり、国が莫大な負担をしたからこそ経営も黒字になっているわけであります。

 この成田空港を民間に売却し、その収益を空港整備特別会計に繰り入れて、その後、関空第二期工事や中部国際空港などの資金にも充当される仕組みになっています。これは、国民の財産を売り飛ばして、その収益で無駄な公共事業を進めることにつながる、そういうものであります。したがって、認められないものであります。大体、このやり方は、無駄を省いて効率化を進めるという、政府の言う特殊法人改革の方向にさえ逆行するものであります。

 反対の第二の理由は、周辺住民に対する環境対策や生活基盤事業などが後退する危険性が極めて高いからであります。

 成田空港は、その設立当初から、周辺住民を始め関係自治体に対して、例えばアルミサッシの二重窓などを始めとする騒音対策とか、あるいは静かな場所への住宅の移転を始めとする生活基盤事業などを実施してまいりました。また、空港によって分断される住民の暮らしを維持するための鉄道の建設や、あるいはその維持管理のための費用負担などを行っています。しかし、利潤最優先の民間会社となった場合に、収益には結び付かないこれらの事業が切り捨てられるのではないかとの不安が地元に渦巻いています。

 暫定滑走路の供用開始によって新たな騒音対策なども必要になっています。ところが、県の報告によれば、騒音の測定箇所六十四か所のうち、約三分の二の六六%、四十二か所は環境基準をオーバーしています。この重大な騒音問題について、民営化に関する国、公団、県、市町村の四者協議の覚書にさえ環境基準のクリアがうたわれていません。本委員会の審議でも、環境基準をクリアするとの政府からの明確な答弁はありませんでした。すなわち、成田空港の民間会社化は、現在でも不十分な環境対策を一層後退させる危険性が十分あるということであります。これでは周辺住民の不安が広がるのは当然であります。

 政府の十分な環境対策を強く要求して、反対討論といたします。

 以上であります。


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