2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

22、公務員制度改革

天下りを禁止し、政官業の癒着を断ち切り、国民本位の公務員制度改革をめざします

2014年11月


天下りを禁止し、政官業の癒着を断ち切ります

 2007年、民間企業への天下りを原則禁止していた国家公務員法を改悪し、天下りを野放しにしたのが、第一次安倍内閣でした。この改悪により、あっせんによる天下りでなければ、自由に民間企業に天下りことが可能になったのです。2011年には、経産省・資源エネルギー庁長官が堂々と東京電力顧問に天下るという前代未聞の事件も起こりました。民主党政権は、あっせんによる天下りではなかったとこれを容認しましたが、東日本大震災での原発事故をうけて、国民世論の厳しい批判がまき起こり、日本共産党の国会での追及で、顧問辞職に追い込まれました。癒着を指摘された経産省も、幹部官僚の電力会社への天下り自粛に追い込まれました。しかし、法律に、天下りの禁止を明記するところまでは至りませんでした。その後も、原発輸出を狙う原発メーカーに元経産事務次官が天下り、前財務次官が、国からの受注拡大を狙うIT企業に天下っています。また、禁止されたはずの天下りあっせんも、国土交通省のトップ官僚自身が行っていたことが日本共産党の追及で明らかになりました。この国家公務員法違反に対しても、安倍内閣は、なんのお咎めもなしです。

 今こそ、天下りを禁止し、厳格に実施する法改正が必要です。

 日本経団連は、2014年、政治献金関与の再開を決定しました。とんでもないことです。政官業の癒着を断ち切るには、天下り禁止に加えて、企業・団体献金の禁止も不可欠です。

 

「全体の奉仕者」としての国家公務員制度の変質を許さず、住民・国民の目線で働く民主的な公務員制度の実現を目指します

 安倍内閣は、今年4月、国家公務員法改悪し、内閣官房に新たに内閣人事局をもうけて、官邸が各省庁の幹部人事に介入する仕組みをつくりました。安倍首相は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更のために内閣法制局長官の首を挿げ替えるなど恣意的人事を強行してきましたが、こうした官邸の暴走が進めば、恣意的人事が全省庁に拡大することになります。これでは、国家公務員は、官邸の顔色しか見なくなり、憲法の規定する全体の奉仕者たる公務員制度に重大な変質をもたらすこと必至です。

 現在の公務員制度は、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことへの反省から、「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」(憲法第15条)と規定されています。しかし、歴代自民党政権のもとで、キャリアと呼ばれる特権官僚層が復活し、政権政党と癒着構造を形成してきました。今回の国家公務員法改悪は、政権中枢と特権官僚の新たな癒着構造の形成をもくろむものです。

 特権官僚層との癒着を深める改悪ではなく、特権官僚層を生みだすキャリアシステムにメスを入れ、天下りを禁止し、幹部人事介入制度を廃止し、国家公務員が、国民と住民の目線にたって働ける公務員制度改革こそ求められています。私たちは、公務員が「全体の奉仕者」として、公正中立で効率的な行政を第一とする民主的公務員制度への改革を求めていきます。

 

労働基本権を回復し、公務員の労働条件の向上をはかります

 安倍内閣は、公務員給与を平均二パーセント引き下げる「給与制度の総合的見直し」を盛り込んだ給与法改悪を11月の臨時国会で強行しました。引下げ分の一部は、都市部の地域手当などに配分され、地域間給与格差の拡大も必至です。この「見直し」については、全国知事会など三団体が、「特に地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことも踏まえると、結果として、官民を通じて地域間格差が拡大することになりかねない」との異例の声明を発表するなど批判が高まっています。安倍内閣は、この見直しを地方公務員まで波及した場合のマイナス効果を2500億円と見積もっており、地方経済への深刻な打撃となります。公務員の賃下げは、公務員の生活を破壊するだけでなく、民間の賃下げと相まって、日本の労働条件全体を引き下げ、デフレの一因ともなってきました。

 給与を引き下げ、労働条件を引き下げる「見直し」が、労働基本権制約の代償機関とされる人事院の勧告としてなされことも重大です。ILOは、今年6月、9度目の労働基本権回復の勧告を行っています。公務員の労働基本権を回復し、労働条件の向上に転換すべきときです。

 

縮小廃止ありきの「改革」でなく、公共性・自主性を生かす独立行政法人改革を

 「はやぶさ」で有名な宇宙航空開発機構や国民生活センターなどの研究機関や公共機関は、2001年の省庁改革時に導入された独立行政法人制度のもとで運用されてきました。独立行政法人制度は、行政における企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門に運営裁量を与えることで、政策実施機能の強化をうたうものです。しかし、実際は、多様な公共的事業や業務を一つの枠組みの中に押し込み、事業の縮小や廃止の道具として使われてきました。各独立行政法人には、整理統合や一方的な人件費削減目標などが押しつけられ、その役割の発揮どころか、事業や業務の遂行に支障すら 生じている法人もあります。

  ところが安倍政権は、主務大臣の役割強化や組織の改廃規定の強化など、全体として、事業、業務の廃止、縮小を進める独立行政法人通則法の改悪を強行しました。法律には、雇用の維持、権利義務の継承などを保障する規定すら設けられておらず、職員の士気を低下させ、雇用の安定を脅かすものとなっていることも重大です。

独立行政法人の役割の発揮を妨げている仕組みを改め、職員の雇用を保障するとともに、研究開発や行政に密着した事業などの独立行政法人制度になじまない法人は、行政自身の業務として制度 の枠から除外するなど抜本的な改革が必要です。

 (c)日本共産党中央委員会