日本共産党

2007年参院選 個別・分野別政策/くらしと経済

【4】中小企業

中小企業憲章を制定し、中小企業重視へ経済政策を根本的に転換します

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 企業数の99%、従業者数の7割、製造業出荷額の半分を占める中小企業の経営が安定・発展することは、日本経済の民主的発展と国民生活の向上にとってきわめて重要です。

 ところが、2007年中小企業白書によれば、1986年をピークに企業数が100万社以上減少、なかでも小規模事業所はこの10年間で約半数が廃業においこまれています。最近の動向をみても、企業倒産は7ヶ月連続して増加し、2006年度の倒産は個人消費の低迷を反映して、小売・サービス業関連を中心に件数も負債総額も増加に転じています。

 中小企業の経営を困難におとしいれている原因は、大企業の横暴を野放しにする一方、地域経済の切捨て、中小企業や自営業者に過酷な税制、中小企業予算の削減、「弱肉強食」の経済政策をすすめてきた積年の自民党政治と9年にわたる自公政権にあります。財界の要求にこたえた「構造改革」、規制緩和路線の推進では、民主党も自公政権と同一の政治的立場をとってきました。

 この経済政策を根本的に転換し、国民生活と中小企業を重視する政策にあらため、「中小企業憲章」を制定し、07年度も一般歳出の0.35%・1625億円に過ぎない中小企業予算を当面一般歳出の2%、1兆円程度にふやし、中小企業経営者や自営商工業者の努力にむくいる政策をすすめます。EUは「小企業憲章」を制定し、「小企業が最優先の政策課題にすえられてはじめて新しい経済の到来を告げようとするヨーロッパの努力は実を結ぶ」と基本理念を謳っています。

 欧米諸国と比しても、日本の開業率の低迷、廃業率の高さはきわだっています。中小企業が存続し、つぎつぎと開業する21世紀の日本は、個人の発意やイニシアチブが豊かに発揮される社会となります。そのために、つぎの政策をすすめます。

庶民のふところを暖め、中小企業への需要と仕事をおこします

 中小企業の多くは国民生活と密着した仕事をしています。庶民増税や医療・介護の負担増などは庶民のふところを寒くし、消費を冷え込ませ、小売、サービス、建築など広い分野の中小企業の営業を困難にします。大企業・資産家を優遇し、庶民への負担増となる税制改悪──定率減税の廃止や国保料にはねかえる住民税増税に反対し、応能負担・累進課税によって庶民の税負担を軽減し、国民健康保険への国庫負担を元に戻すなど生存権を保障する医療・年金・福祉の制度を再建・拡充します。消費税の増税の企てをやめさせます。

中小企業と農林水産業に光をあて地域経済の振興をはかります

 地域の自然と歴史、人材と技能を生かし、中小商工業や農林水産業の振興をはかる内発型の地域産業の振興をはかります。

 地元農水産物の給食材への供給や地元産の木材を使った公共施設や住宅の建設などの「地産地消」、消費者と結んだ直売所や産直センター、農林水産物の加工による特産品づくり、教育・研究機関との連携による中小企業振興などに力を注ぐようにします。地域の売上げが地域の勤労者をうるおし、仕事と資金の地域内での循環と再投資の促進につながる地域経済循環をつくります。

 公共事業のダンピング入札をなくし中小企業発注の拡充と公正なルールを確立します。ひも付きの補助金制度をあらため、地方が耐震・防災対策や生活密着型の公共事業に創意を発揮してとりくめるようにします。公共事業・官公需の発注は分離分割発注、随意契約を活用し、中小企業への発注率を高めます。

中小企業が大企業と公正な取引ができるよう、大企業の横暴をおさえるルールをきびしくします

 公正取引委員会・中小企業庁の下請検査官を増員し、訴えのあるなしにかかわらず、系統的に下請企業と親企業、納入業者と大手企業との取引に関する実態調査をおこない、それを公表するなどの措置を取り、違反した大企業には課徴金を課すようにします。中小企業、中小企業団体が、公正な取引ルール確立の担い手として役割を発揮できるよう、「団体交渉権」などを明記した「公正取引確保法」(仮称)を制定します。最低賃金に見合う最低加工賃の算定基準を策定します。

 フランチャイズ加盟店の経営安定と本部との公正な取引関係を確立するため、契約内容の禁止条項、ロイヤリティなどの適正化などを盛り込んだ「フランチャイズ適正化法」を制定します。

高齢者が利用しやすく、若者に魅力的な商店街の再生をすすめます

 商店街と公営住宅・病院・福祉関係などの公共施設を組み合わせたまちづくりの促進、生鮮三品の店の確保、空き店舗を活用したチャレンジショップ、高齢者のたまり場づくりなど、高齢者・子供連れの親子・若者が楽しみながら買い物のできる店づくりや商店街の企画を支援します。

 大型店の出店や退店、営業時間などは、住民の意思にもとづき、自治体の権限で規制できるようにします。アメリカでは、大型店の出店にあたり、預託金を取り置く自治体が生まれていますが、大手スーパーや大企業に、地域貢献など社会的責任を果たさせるようにします。改定中心市街地活性化法によるまちづくり・商店街支援に関する国の認定制度を、自治体の認定・支援策にあらためます。

中小企業を育てる税制・金融のしくみをつくります

 消費税を転嫁できない中小業者が5割を超えるなど消費税は中小企業いじめの税制です。消費税の延納措置を認めるとともに、免税点をひきあげます。

 事業主、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費と認めるとともに、法人税にも累進税率を導入し、中小法人の所得については軽減税率を適用します。事業用資産については、事業の承継を条件にした相続税の猶予制度を設けます。中小企業の経営を圧迫する外形標準課税の拡大に反対します。

 納税者憲章を制定し、消費税納税にあたっての仕入控除否認、機械類への償却資産課税の強化、倒産に追い込む差し押さえの乱発など国と地方の過酷な徴税・税務調査をあらためます。

 金融機関の地域経済への貢献を義務づけ、無担保無保証人融資などの制度融資を拡充します。政府系中小企業金融機関の統廃合・民営化は中止し、借り換えや返済条件の変更など、中小企業への資金繰りを円滑化するよう支援します。ヤミ金の規制を強化するとともに、多重債務の相談窓口を自治体に設置します。

 信用保証を縮小するいわゆる「部分保証制度」の導入に反対し、小規模企業への保証料の差別的な引き上げをやめ、広範な中小企業を対象にした信用補完制度を拡充します。

経済の活力=中小企業の開業を支援します

 ここ10数年来、中小企業の廃業が開業を上回る事態が続いています。これは欧米にない事態です。

 経産省の「若者と中小企業とのネットワーク構築事業」の予算を抜本的にふやし、若者の就労・社会的自立、開業に役立つ「インターンシップ」、新規開業塾・相談会、大学等での中小企業論講座など、中小企業の魅力と正確な情報・知識を発信するとりくみを幅広く支援します。

 新規開業者が利用できるインキュベーション(起業支援)の拡充、低利で返済猶予期間を備えた開業資金融資制度の創設をはかります。

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