日本共産党
2007年2月5日(月)「しんぶん赤旗」

陸前高田 中里市長の再選

市民の力で市政守った

財政破たん救ってくれた/今の流れ止めたくない


 四日投開票の岩手県陸前高田市長選で、「あたらしい陸前高田市をつくる市民の声」の中里長門氏(60)が、元民主党県議の吉田昭彦氏(64)を下して再選されました。タラソテラピー施設建設の是非が鋭い焦点となった四年前と違って、中里市政の一期目が評価される選挙戦で、前回の二倍以上の票数差をつけての勝利となった背景には、市民のどのような動きがあったのでしょうか。(岩手県・三国大助)




市民とともに再選を喜ぶ中里氏(左)
=4日、陸前高田市

 開票結果を待っていた会場は駆けつけた四百人の市民で満杯になり、中里氏の再選を心から祝う熱気にあふれました。中里氏は、一人ひとりと握手を交わしました。

 タラソ中止の署名運動に携わっていたという男性(41)は「中里さんと自分の考えは一緒なので、友人に電話で支持を呼びかけた」と安どの表情を浮かべました。

 大歓声のなか登壇した中里氏は「大勢のみなさんの力を結集して、激しい選挙戦に勝ち抜くことができた。市政で解決すべき課題はたくさんあるが、応援してくれた人たちの顔を思い浮かべて、困難打開のために全力をあげたい」と決意を表明しました。

 市長選は、タラソ中止で始まった新しい市政の流れをさらに進めたいという、市民自身の願いと意思が党派をこえて広がる中でたたかわれました。

 「中里さんはタラソをやめて、借金も(十六億円)減らした。政策をすべてやってほしいし、一緒にやっていきたいものばかり」。自営業の女性(27)は喜びをかみしめました。男性(74)=漁業=も「中里さんみたいに、自分の給料を25%も削る人はいない」と感嘆します。

 リゾート開発が失敗すれば財政破たんに陥るところだった。福祉や地元産業を重視する市政になった―。市民の中には、四年前に、自分たちがタラソ建設中止を選んで始まった市政が成果をあげてきていることへの強い確信が広がっていました。

 この市政を何としても守り、発展させようと立ち上がった市民による草の根の運動が中里氏再選の原動力となりました。

 中里氏の宣伝カーの先導車に乗った四十代の男性=会社員=は「中里さんのために有給休暇を取った。心配で仕事が手につかなかったから」といいます。

 「吉田陣営は中里市政を『失われた四年間』と言ったが、それは前の市政の流れだ。いい方向にいっている、いまの市政の流れをとめたくない。その市民の思いが、前回の千二百票差から今回の二千五百票差になったのだと思う。こう考えているのは私だけじゃない」と胸を張りました。

 民主党の組織と地盤が強固な岩手県。同市でも地元出身の同党衆院議員が74%の票を獲得します。今回の市長選でも吉田陣営は、衆院議員の後援会と一体になって、企業と地域・集落をつうじた激しい組織戦を展開しました。

 これにたいして、「市民の声」は「市政を決めるのは市民です」とよびかけ。吉田陣営の選挙戦への反発も広がりました。

 中里陣営の市民大集会(一月十九日)、告示日の第一声、最終日の街頭演説では前回を超える大勢の市民が結集。中里氏に次々に駆け寄って熱い励ましの言葉をかけ、宣伝や対話・支持拡大などでも最後まで力を尽くしました。

 選挙活動は初めてという男性(69)は「ビラをまき、中里さんと一緒に地域も回った」。ポスター張りをした男性(74)は「『吉田陣営の目が光っているので、外に出て中里さんの話は聞けないが、投票は大丈夫』という人がかなりいた。だからこういう結果になった」と振り返りました。

 四年前に中里さんの支援に回り、それ以前は元市長の後援会事務所に出入りしていたという男性(57)=会社員=は「中里さんは一般の人から多く支援されている。事務所の雰囲気も、みんなでもり立てようという空気が強かったと思う」と語ります。

 岩手日報の選挙期間中の調査(五日付報道)では、中里市政を評価するとした回答者が71・6%に上りました。

 市民が前進させてきた市政をさらに進めたいという市民の願いは、中里氏の再選でさらに強くなりました。


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