市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q7 「合併しないと広域のサービスが受けられなくなる」といわれ、心配です。

A 合併しなくても、住民に必要なサービスは受けられます。

 一部事務組合や広域連合は、消防や衛生、介護保険や病院、火葬場など、市町村が単独でおこなうよりも効率的で必要な水準を確保できる仕事について、幅広く組織されています。広域行政に参加している市町村が合併した場合、二つ以上の市町村が合併せずに残っていれば、その事務組合や広域連合は存続しており、自動的に解散にはなりません。合併した市町村をふくめて、今後のあり方を検討することになります。

 問題は、一部事務組合や広域連合のなかの一つの自治体だけが、合併しない場合です。この場合には、他の市町村がなくなるので、一つの自治体しか組合・連合に残らず、「複数の自治体で構成する」という事務組合・広域連合の前提がくずれるため、合併前にいったん解散し、合併後に新たに設立することになります。

 こうしたケースにたいする特例として、昨年(二〇〇二年)の法改正で、一つの自治体だけが残る場合でも、合併前の規約改正(構成団体を新自治体に変更など)によって、合併後も解散することなく、存続することができるようになりました。

 いずれにせよ、合併により一部事務組合や広域連合の仕事が滞ったり、サービスを受けられない自治体が出ないようにするのは当然のことです。

 ところが、ある地域では、合併の中心になる市の市長が、残ろうとする町にたいして、「新たな特例は使わない」と、いまの一部事務組合を解散し、その後新たにはつくらないかのような、合併への脅しともとれる発言をして問題になっているそうです。

 こうした自治体間での「いじめ」ともいうべき対応は、いまの地方自治法は想定していません。憲法と自治法、各分野の法律にもとづいて市町村がおこなうことが義務づけられている仕事については、どの市町村もおこなえるようにするのは、国と県の責任でもあります。

 その市長も実際には、発言のような態度を貫くことはできないでしょう。それにしても、法令にもとづいて仕事をすべき、自治体行政の責任者の立場から大きく逸脱した「いじめ」発言を公然とするような市長の自治体とは、合併しないほうが住民のためといえるのではないでしょうか。

 「合併しないから」という理由で、法令で定めている標準的な住民サービスを受けられなくするということは、あってはならないし、ありえないでしょう。


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