市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q4 合併すれば、財政は楽になる」というのは本当ですか。

A 合併したほうが、やがて地方交付税は大幅に減ります。

 そもそも、「平成の大合併」の号令で、国が市町村合併を事実上強制的にすすめている最大の理由の一つは、国から地方への支出を減らすことです。市町村が一〇〇〇程度になれば、四〜五兆円規模の財政削減ができることが「総務省試算」として報道されたこともあります(産経新聞)。

 市町村合併がすすめば、管理職をふくめた職員の大幅削減、役所・施設の統廃合など、その地域全体での行政の必要経費が減るため、地方交付税や補助金を大幅に減らせるのです。ですから総務省も、「合併は行政改革の最たるもの」、「画期的な行政改革手法」と公然と認めています。

 「合併すれば財政が楽になる」という主張のいちばんの根拠は、地方交付税(普通交付税)の合併による算定の特例でしょう。合併後十年間は、地方交付税を合併した場合の本来の額に減らさずに、合併しなかった場合にそれぞれの旧市町村が受け取る額を計算して、その合計を保障するというものです。これは十年を過ぎれば、段階的に五年間かけて、本来の交付税の額へ大幅に減ることになります。

 いわば「一息つける」程度であって、合併しても、財政的に楽になるわけではありません。逆に、合併したほうが、やがて、その地域全体の予算も地方交付税も、大幅に減るのは避けることができません。

 たとえば、長野県が「信濃毎日新聞」(五月二十四日付)に掲載した「広報ながのけん」は、「自律を目指す真の“ふるさと自治”一二〇市町村の選択」をテーマに、合併問題の「Q&A」をのせ、「合併しないと地方交付税が減るって本当?」の質問に、「合併・存続ともに減少し一六年目に逆転」(合併したほうが少なくなる)というシミュレーションをしめしています。そのうえで、「県は『市町村の自律』を支援します」と、県の姿勢と施策を紹介しています。


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