市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q3 合併しないと財政がやっていけない」、「自立(自律)というなら財政的な見通しをしめすべき」といわれますが……。

A 適切に対応すれば、自立(自律)したまちづくりは可能です。

 まず、「合併しないと財政的にやっていけない」、「取り残されたら大変」という主張をしている人たちの「根拠」は、地方税が減り、地方交付税が大幅に減る一方、職員の人件費や公共事業費、住民サービスの費用は現状のまま、という前提で「試算」している例がほとんどです。こうした前提で「試算」すれば、合併しても合併しなくても、遅かれ早かれ、ほとんどの市町村が「財政破たん」します。合併すれば、合併後の特例措置で何年かは「一息つける」としても、十数年すれば、同じように「財政破たん」に直面し、その後は合併しない場合よりも、もっと厳しい財政状況に直面することになります。

 たしかに、市町村は、長期の不況による税収減、国の景気対策での公共事業おしつけによる借金の増加、財政困難のもとで、さらに、小規模市町村の場合は地方交付税の段階補正の縮小もあり、財政運営はどこも大変です。しかし、ほとんどの自治体では、毎年毎年の予算編成は、苦労しながらもやりくりしています。これからも、よほど乱脈な放漫財政、無謀な大規模開発や公共事業の集中実施などをしなければ、なんとか運営はできるものです。

 実際、兵庫県・南光町では、佐用郡合併研究会の「推計」では「三十年後に破たん」となっていましたが、山田町長と兵庫県自治体研究所の協力で、人口減に伴う役場の効率化、公共事業の計画的実施などをおこなえば「三十年後でも財政的に運営できる」、という試算をあきらかにしています。

 もし、そういう努力をしてもなお、財政運営ができない市町村が次つぎに生まれるとなれば、それはその市町村の責任ではありません。自治体に住民サービスの仕事の実施を義務づけながら、その財源は保障しない国の責任、国の地方自治の制度設計の誤り、失敗ということになります。そうなれば、問われるのは国の政策・方針であり、なにも、個々の市町村が「合併しないと財政が破たんする」などといって、あわてて合併に走る必要などどこにもありません。

 「取り残されたら不安」といって合併してしまえば、これまで築いてきた市や町、村そのものがなくなってしまいます。合併せずに自立(自律)の道を歩み、その地域の住民の意思で誇りの持てるまちづくりをすすめることは、重要な選択肢ではないでしょうか。


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