市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q21 地方財政の「三位一体の改革」のねらいは何ですか。

A 自治体への国の財政支出を減らすことです。

 小泉内閣は、「構造改革」を看板に、年金や医療の改悪、消費税大増税や所得税の引き上げなど国民への犠牲転嫁をすすめようとしています。その「構造改革」の大きな柱として「国と地方のあり方の改革」をあげ、とくに地方財政にかんしては、「三位一体の改革」をすすめようとしています。「三位一体の改革」とは、(1)国庫補助負担金の廃止・縮減、(2)地方交付税の見直し、(3)税源移譲を含む税源配分の見直し、の三つを一体でおこなうというものです。これは、「改革」どころか、国民と地方自治体にとっては、財政支出の大幅削減による行政サービスの後退、地方のきりすてというべきものです。

 今年六月の「骨太の方針第三弾」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003)では、「地方でできることは地方に」のスローガンのもと、「受益と負担の関係を明確にし、地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を増やし、真に住民に必要な行政サービスを地方自らの責任で自主的、効率的に選択する幅を拡大する」「国・地方を通じた行財政改革強力かつ一体的に進め、行財政システムを持続可能なものへと変革していくなど、『効率的で小さな政府』を実現する」としています。

 この真意を、国民と自治体の立場で読み下すとどうなるでしょうか。サービスを受けるなら負担をする、自治体はみずから財源を確保するという原則にたって、住民サービスは、ナショナルミニマムでなく、自治体が独自に本当に必要と考える最小限のものにとどめ、その財源も自治体独自で確保するべきだ、国も地方も行革を徹底し、お金をかけないようにしよう、ということでしょう。

 たしかに、国庫補助負担金も地方交付税も、いまの制度の中には、公共事業を促進するしくみが根深く組み込まれています。その改革は当然であり、国民や自治体が求めていることでもあります。しかし、本来の機能は、国庫補助負担金であれば、国が定める国民の権利、ナショナルミニマムの実現に国が財政的にも責任をもつことです。地方交付税は、自治体がおこなうべき標準的な行政サービスを財政的に保障することです。戦後の長い時期をかけて、国民と自治体が要求して制度化されたものも少なくありません。

 いま、小泉内閣がやろうとしているのは、改革の必要性を楯に、国の責任である本来の機能を掘り崩そうということです。

 実際、国庫補助負担金(今年度予算。地方自治体向け)は、社会保障関係が六一・二%、教育関係が一八・一%、合わせると約八割です。いま政府が最重点のターゲットにしているのも、義務教育教員給与費と保育所運営費の国庫負担金です。

 「三位一体の改革」の名による、国民への犠牲転嫁と地方のきりすてを許さないたたかいがもとめられます。


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