市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q18 「小規模町村は、やがて強制合併」といわれていましたが。

A 「強制合併」のたくらみは消えていません。引きつづき、たたかいが必要です。

 昨年九月、小規模町村に強制合併と権限取り上げをおしつける「西尾私案」が、地方制度調査会に提出されました。全国の市町村関係者から怒りの反撃が急速に広がり、二月には全国町村会と全国町村議会議長会の合同の決起大会が、戦後初めておこなわれました。

 こうした流れのなかで、地方制度調査会は四月三十日に「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」をとりまとめました。

 この内容を見ると、「地方自治の本旨」とか「自主的な合併」という言葉がより前面に出てきましたが、検討すべきとして提起しているのは、合併の押しつけと事実上の「強制合併」です。

 「中間報告」は、まず、合併特例法の期限後の「合併推進の手法」として、新たに合併推進法を作り「一定期間さらに自主的な合併を促す」としています。新法には、「基礎的自治体を目指し、必要に応じて都道府県が市町村合併に関する構想を策定し、合併に関する勧告や、合併に取り組む市町村間のさまざまな合意形成に関するあっせん等により自主的な合併を進める」としています。懸案であった「法律で人口規模の要件をしめすかどうか」は、賛否両論があることを記すにとどまり、「先送り」となりました。

 また、「地域自治組織」制度を活用し、都道府県知事が、小規模な市町村にたいして、「当該市町村を単位とする地域自治組織を設置し、包括的な基礎自治体を形成すべきことを勧告することができるものとする」としています。さらに、一定期間経過した後、「合併できなかった市町村」は、「基礎的自治体」の「地域自治組織」になることを都道府県に自ら申請することができる、としています。

 そのプロセス(過程)を経た後も、残った小規模市町村を対象に、法令による義務づけのある事務は、一部を除いて都道府県に処理を義務づける「特例的団体」の制度の導入を検討する必要を提起しています。

 たしかに、「一定人口以下は自動的強制合併」のような露骨な表現は影をひそめていますが、「基礎的自治体」をめざして、国と県が市町村を追い込む方向は明確です。

 「基礎的自治体」というのも、「自主性の高い行政主体」「これにふさわしい十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる専門的な職種を含む職員集団を有するものとする必要がある」といい、国・県の事務の移譲をすすめるとしていますから、現行でいえば、中核市(人口三十万人以上)、少なくとも特例市(人口二十万人以上)程度を想定しているということでしょう。こんど合併しても、もう一度合併を強いられる自治体が続出するような構想です。

 全国町村会が、この「中間報告」に強い批判的態度をとっているのは当然です。山本会長は、四月三十日の地方制度調査会総会で、座長のまとめ的発言の後に、あえて発言し、「私は反対のところははっきり反対だと申し上げた」、「私どもが最も望んでいるようなことは全然書かれていない」として、配慮をもとめました。五月十五日には、「緊急要望」を決定し、自民党本部などに要請しています。引きつづき、たたかいがもとめられます。


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