市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q16 「地域審議会」や「地域自治組織」ができれば、合併後も周辺部はさびれませんか。

A 「地域審議会」などが、地域をさびれさせない保障とはいえません。

 まず、「地域審議会」ですが、一九九九年の改正でつくられました。合併前の市町村を単位につくられるもので、役割は、その区域に係る事務について、(1)首長の諮問に応じて審議する、(2)首長に意見を述べる、という二つです。審議会の構成員の定数、任期、任免などは合併前の協議で決めるとだけ、定められており、具体的には合併関係市町村に任せられています。

 問題の一つは、設置の期間です。特例法では、合併に先立って「期間を定め」るとしています。しかし、政府の考え方は、「著しい長期間が設定され、かえって行政運営の妨げになることがないようにする必要がある」として「市町村計画の期間(五年〜十年)も考慮されることが適当」としています。そもそも政府サイドは「設置の主な趣旨は、合併前の懸念を払拭することです」(『市町村合併ハンドブック』)としているように、合併後のまちづくりのための制度ではないのです。これでは、周辺部もさびれない保障になるとはとてもいえません。

 「地域自治組織」についてはどうでしょうか。これは、まだ国の制度になっていません。四月の地方制度調査会の「中間報告」で将来構想として提起されているものです。そこでは、旧市町村を単位に地域共同的な事務を処理するための組織として「地域自治組織」を設置できる制度を作るとしています。

 あわせて、それは当面の措置で、将来は合併の有無にかかわらず、一般的な制度として「必要な地域(例:小・中学校区等)に任意に設置できる制度を検討する」としています。将来は旧市町村を単位にしたものではなくなりそうです。一定規模の市では、住民参加にとって一定の意味を持つかもしれません。しかし、周辺がさびれない保障になるものとはいいがたいのではないでしょうか。

 もちろん、合併が決まった地域では、「地域審議会」を住民の意向を反映した組織として構成・運営されるように努力することは当然です。幻想をもつのは適切ではありませんが、しかし、その時点その局面で、住民にとって少しでも活用できるものは活用して、住民の声を届け、その利益を守るために努力することがもとめられます。


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