市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q14 法律にもとづく住民投票はどういうものですか。

A 特例法が定める住民投票は、法定協議会の設置の是非を問うもので、議会が否決した場合におこなわれるものです。

 合併の住民投票には二種類あります。一つはお尋ねの合併特例法が定める住民投票で、もう一つは各市町村が条例を定めておこなう独自の住民投票です。

 特例法が定める住民投票は、実施のための条件が限られています。法定協議会の設置の議案を、議会が否決した場合に、首長の請求または有権者の六分の一以上の署名による請求で実施されます。(「議会の否決」は、(1)合併請求自治体の議会が否決し、合併対象自治体のすべてが可決した場合、(2)協議会設置請求が同一請求の場合は、議会が否決した自治体どこでも対象となります)

 議会(や首長)が合併に消極的な場合に、住民の意向で合併協議会を設置できるようにしたもので、合併促進のための手続きです。しかし、最近おこなわれたこの住民投票では、設置を否決する例が相次いでいます。

 鳥取県境港市では、七月二十日におこなわれた米子市との合併協議会設置を問う住民投票で、反対が九,七五六票で賛成の六七三六票を大きく上回り、法定協議会は設置されないことになりました。ここでは、昨年十二月に市議会が「境港市存続についての決議」を一三対五で可決し、米子市をふくむ合併が白紙になりました。合併推進派が三月議会に米子市との法定協設置を請求しましたが、この議案が一二対四で否決され、一方、米子市は可決しました。そこで、境港市の推進派が住民投票請求をおこない、実施されたものです。その結果は、「合併でなく、境港市を存続させたい」という市民の願いの広がりをしめしたものです。

 当初、「境港を残したいが、財政的にやっていけるのか」という不安が広くありました。これにたいして、「ハコモノ中心だった行財政運営を改めれば、住民福祉に応えながら財政再建はできる」ことをしめして、保守層もふくめて広範な市民をはげまし、存続を願う世論として広がりました。

 島根県東出雲町でも七月二十七日の住民投票(松江市、八束郡七町村との合併協議会の設置の是非を問う)で、反対が四四一四票で賛成三六五七票を上回りました。ここでも三月議会で他の市町村議会が可決したなかで、東出雲町議会だけが否決したことを受けて住民投票の請求がおこなわれて実施されました。町のホームページをみると、「法定協議会参加についての町長見解」が紹介されています。「東出雲町の現状、そして将来を展望しても合併しなければ達成が困難な町政の課題はないとの判断に立ち、法定協議会への参加はしないとの見解に達しました。。そして「今後のまちづくりプラン」をしめすとともに、「合併しないことによる不安への見解」として「財政問題と将来設計」「少子高齢化への対応」「地方分権への対応」「取り残されるのではないか」について、町の現状をふまえて明快に答えています。

 このように法律にもとづく住民投票の場合は、首長や議会の多数が合併に反対している条件も生かして、住民の運動ととりくみをすすめることが大切です。


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