会社更生法案ほか1案に対する反対討論

 中林よし子議員 衆議院 法務委員会 2002年11月26日

 私は日本共産党を代表して会社更生法案ほか1案について反対討論を行います。

 反対の第一は、本改正が、小泉政権の進める不良債権処理促進の環境整備を進めるものだからです。本改正は、更生計画認可前の営業譲渡の導入によって倒産した会社の切り売り等をやりやすくし、大規模株式会社の主要な債権者である大銀行等にとって会社更生手続、すなわち不良債権処理の迅速化をはかるものです。

 第二は、会社更生手続の中で経済的に弱い立場に置かれる労働者や中小企業を、切り捨てるものだからです。会社更生手続に更生計画認可前の営業譲渡制度や社内預金保護の縮小等、労働者等の権利保障が弱められています。

 営業譲渡はすでに民事再生法で導入され、譲渡時における労働者の全員解雇など数々の深刻な事態を招いています。私が、具体的事例で指摘したのに対して、大臣は、法務省として問題は認識しているとしながら、個別のケースについては大変残念だがコメントはさし控えたいと無責任な答弁でした。譲渡による会社の切り売りは倒産会社の更生に役立たないどころか、そこに働く労働者の雇用、中小業者の営業にとって深刻な生活と営業の危機を招くことは明らかであります。

 このように本改正は、倒産事件ですでに起こっている労働者の雇用の問題をはじめ、労働債権の順位を引き上げる問題、社会問題化しているショッピングセンターの敷金の問題などにまったく手をつけていません。

 第3は、倒産の原因を作った経営者が、その社会的責任を取らずに引き続き更生会社の経営に参加できる仕組みを作り、経営者のモラルハザードを招きかねないものとなっているからであります。会社更生手続は無担保債権だけでなく、担保付債権、租税債権等も含めて、債権のカット・繰り延べによって更生会社を身軽にして、会社の更生をはかる手続です。債権者にだけ痛みを押し付けながら、経営者だけが生き残れるようなやりかたは社会的に絶対に許されません。

 以上、反対の理由を申し述べ、討論を終わります。


* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
   特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。

*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。


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