学校教育法「改正」案に対する反対討論

 畑野君枝議員 参議院 文教科学委員会 2002年11月21日

 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、大学の学部等にかかわる認可事項の見直し、法令違反状態の大学に対する是正措置の整備、法科大学院を含む専門職大学院の創設、認証評価制度の創設という四つの重要な内容を持っています。

 本日、参考人質疑と法科大学院の創設についての法務委員会との連合審査は行われましたが、肝心の本委員会での法案そのものの審議は、二日間で五時間強という短時間です。このように審議が不十分なままに、しかも、参考人から貴重な意見を聴いたその日に採決をするというのはまことに遺憾だといわなければなりません。

 反対の理由は、認証評価制度を創設することが、本法案の最大の問題です。 これは、真に政府から独立した第三者機関が自主的、自律的に評価を行うというものではなく、文部科学大臣の認証を受けた評価機関等からすべての大学が評価を受けることを義務づけるものです。評価機関の認証基準も細目にわたって文部科学大臣が決めることになっており、国の意向に沿った評価機関とならざるを得ません。

 ユネスコで高等教育の質の向上のために「独立した全国レベルの機関の確立」を宣言した1998年の「21世紀に向けての高等教育世界宣言」にも反することになります。

 我が国では、大学評価は始まったばかりです。2000年度から実施されている大学評価・学位授与機構による大学評価は、国立大学協会が深刻な懸念を持たざるを得ないと指摘しているように、評価の名に値しないものでした。また、私立大学は第三者評価そのものを多くは未経験で、これから評価のあり方などを探求模索しようという段階です。このような状況で全大学に文部科学大臣の認証を受けた者による評価等を義務づけるのはあまりにも乱暴と言わざるを得ません。

 さらに、文部科学省は、資源配分機関が評価結果を参考にすることも十分あり得るとしています。これは、大学が政府がすすめる重点分野などの短期的な研究成果の追求をすすめ、長期的視野で行われる教育、基礎研究をなおざりにする傾向に拍車をかけ、学問研究を衰退させることになりかねません。

 最後に、認可事項の見直し、法令違反状態の大学に対する是正措置については妥当なものと言えます。また、専門職大学院の創設については、研究指導を必修としないなど問題はあるもののその必要性は認められます。しかし、認証評価制度の創設は、第三者評価の名のもとに、これまで以上に政府による大学の管理統制がすすみ、学問研究の自由、教育の創造的発展にとって深刻な影響を及ぼすもので、決して認めることはできません。したがって、本法案に反対するものです。 以上で討論を終わります。


* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
   特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。

*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。


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