連結納税制度導入法(法人税法改正)案に対する反対討論 衆議院 財務金融委員会 佐々木憲昭議員 2002年5月29日

 私は、日本共産党を代表し、銀行株式保有制限法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 本改正案は、株式の持ち合い解消を口実にして、銀行保有株式取得機構が事業法人の保有する銀行株を買い取ることを可能にするものです。
 反対する第一の理由は、本法案が、これまで政府自身が説明してきた株式取得機構設立の立法趣旨と全く相入れないものであることです。
 わずか半年前の法案審議の中で、政府は、機構の設立は株式保有制限の導入に伴う信用秩序の維持のためだ、事業会社の持つ銀行株がスキームに入らないのは当然の帰結だ、持ち合い解消を目的にした制度ではないなどの答弁を繰り返してきました。与党が提出した法案は、半年前には明確に否定した事業法人の保有株式の買い取りを一転して今度は認めようというものであり、何の道理もないものであります。
 買わないと言っていたものをどうして今回買うというのか、先日の委員会質疑では、与党議員を含めてここが鋭く問われました。しかし、柳澤金融大臣からも、法案提出者からも、何ら説得力ある答弁はありませんでした。このような破綻が明らかとなった法案を、わずか一日だけの質疑でしゃにむに成立させようという与党三党の態度は許されないものであります。このような法案は撤回すべきであります。
 反対する第二の理由は、買い取り対象株式の拡大によって、国民負担のリスクが増大することであります。
 法案では、事業法人の保有する株式の買い取りは、政府保証つきの特別勘定で行われる仕組みになっています。したがって、株式取得機構が買い取った株式から損失が生まれた場合、国民負担で穴埋めされます。これは、事業法人が抱える株式損失リスクを国民に転嫁するものであります。しかも、事業法人からは売却時拠出金を徴収しないため、損失が発生すれば丸々国が穴埋めすることになります。
 委員会質疑の中で、私は、株の下落について国民に責任があるのかとただしましたが、国民負担を当然視する提案者からは何ら明確な答弁はありませんでした。このような、いわれなき負担を国民に求める本法案には断固反対であります。
 第三の理由は、本法案が、銀行株の買い支え策の性格を持ち、新たな銀行支援策になっていることです。株式取得機構が事業法人の保有する銀行株を買い取ることは、銀行株の市場売却による値下がりを買い支えるものであります。本法案は、この間政府・与党が進めてきたモラルなき大銀行支援策の上塗りをするものであり、認められません。
 さらに、これは公的資金による株価維持政策としての株式取得機構の性格を強めるものであります。株式取得機構をめぐる一昨年来の議論を振り返ってみると、与党自民党の中には常に株価維持政策の発想が見られます。
 公的資金による株価操作は、公正な市場の形成をゆがめるものであり、株価対策としての効果はありません。経済の実態を回復させ、企業の業績を改善することなしに、公的資金で株価を買い支えようという政策は根本的に誤ったものであります。
 以上の理由から、本法案に反対であることを表明し、討論といたします。(拍手)


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