日本共産党

2004年12月25日(土)「しんぶん赤旗」

“英国の200万人が貧困状態”

増大する社会的弱者

政府批判、困窮者支援強める慈善団体


 プレゼント交換やパーティーと一年で一番華やかな時期となるクリスマスを前に、ホームレス(住宅困窮者)や年金生活者を支援する英国の慈善団体は、社会的弱者の困難が労働党政権下でますます増大していると相次いで指摘しました。慈善団体は、政府の責任を指摘するとともに、弱者への支援活動を強めるとしています。(ロンドン=西尾正哉)


 ホームレスを支援する団体「シェルター」は、英国でのホームレスが記録的な十万八百十世帯に達し、労働党が政権をとってから123%増にあたると指摘しました。

 このうちホームレスの子どもは十一万六千五百八十一人。クリスマスの休暇シーズンを自宅など恒久的な住居ではなく一時的な避難所で過ごすことになり、健康や教育に及ぼす影響は重大だと指摘しています。

すぐ対策を

 シェルターのアダム・サンプソン事務局長は「政府が子どもの貧困や社会的排除の問題に真剣に取り組むというのなら、ホームレスが一時的な施設から抜け出せるようにもっと援助をすべきだ。いま行動しなければ多くの人的資源が犠牲になる」と述べ、政府にすぐに対策を打つよう求めました。

 同じくホームレスを支援する慈善団体の「クライシス」は、二十三日から三十日までの間、ロンドン市内東部のグリニッジにある世界最大級のドーム型施設、ミレニアムドームで、ロンドン地域のホームレスのための支援活動をしています。

 ドームでは一時的な避難施設を提供するとともに職業訓練や医療活動を行い、のべ八百人の参加が見込まれています。クライシスは、ロンドンには十万人のホームレスがいると見積もっています。

 高齢者を支援する慈善団体「エイジコンサーン」は、年金生活者は五人に一人の割合で貧困状態にあり、食べ物や暖房など生活に不可欠なものを得るのに困難を抱えていると指摘しました。

家庭を訪問

 リシュマン事務局長は、「二百万人近い人が貧困状態にあり、その結果、私たちが当然とみなすものを購入できないでいる。国家による年金を増額し、すべての高齢者の基本的生活をカバーできるようにすべきだ」と強調しています。

 同団体は、冬の寒さのために二万二千人の高齢者が亡くなると推定。高齢者が暖かく過ごせるよう家庭訪問などの支援をしていくとしています。



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