日本共産党

2004年12月3日(金)「しんぶん赤旗」

日本フィリピン自由貿易協定の合意

どうなる? 人、物の流れ


グラフ

 アジアで自由貿易協定(FTA)を核にした経済連携協定(EPA)を結ぶ動きが活発になっています。その一つ、日本とフィリピンのFTA交渉は、十一月二十九日に行われた首脳会談で基本合意しました。そのとおりになると、物、人、サービスなどの流れはどう変わるのでしょうか。

 この交渉では「人の移動」が焦点の一つになりました。フィリピン人の看護師、介護士の受け入れ問題です。

 その内容は―。資格保有など一定の要件を満たしたフィリピン人の看護師候補、介護士候補が日本の国家試験取得の準備活動をするために入国することが認められます。(滞在期間の上限は看護師三年、介護福祉士四年)

 国家試験を受験後、資格取得者は引き続き、看護師、介護福祉士として就労できる、というものです。

 介護福祉士については、日本語の研修修了後、課程を修了すれば国家資格が取得できる日本国内の養成施設へ入学する枠組みも設けられます。

表

 ただ、受け入れ人数については基本合意では明記されませんでした。

 また、人材養成、金融サービス、中小企業、観光、運輸など九分野で二国間の協力を進めるとしています。(そのほかの主な合意内容は表を参照)

 日本は二〇〇一年にシンガポール、〇二年にメキシコとの政府間交渉を開始、すでに協定に署名しています。アジアでは、今回合意したフィリピンをはじめ、タイ、マレーシア、韓国との交渉が進行中です。



カット

 FTA・EPA 自由貿易協定(FTA)とは、ある国や地域の間だけで、輸出入品にかかる関税を取り払い、それらの国や地域の間で、物やサービスの貿易を自由にすることを目的にした協定です。最近では、貿易の自由化だけでなく、投資や人の移動、知的財産権といったさまざまな分野での協力なども取り込み、幅広い協定を結ぶ方向になっています。このように、FTAの内容を基礎にしながら、経済のより広い分野でのつながりを強めようとする協定のことを経済連携協定(EPA)と呼んでいます。

 世界全体の自由貿易ルールを決める国際機関・世界貿易機関(WTO)との関係について、外務省は「(EPA、FTAは)限られた相手との間で、WTOの下で実現できる水準を超えてさらに貿易を自由にすることや、WTOで扱われていない分野での経済関係を強化することが可能」(外務省のパンフレット)だとしています。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp