日本共産党

2004年11月29日(月)「しんぶん赤旗」

証拠続出「記憶ない」通用せず

日歯連疑惑 問われる自公の態度


 自民党旧橋本派(平成研究会)への一億円ヤミ献金事件。自民党の政治資金団体「国民政治協会」と同党本部を経由した迂回(うかい )献金疑惑――。日本歯科医師連盟(日歯連)をめぐる疑惑究明で、国会がどういう態度をとるのか、いま鋭く問われています。“知らぬ 存ぜぬ”の旧橋本派幹部、「迂回献金はない」という自民党。そんな言い逃れを許さない有力根拠が相次いで浮上しているからです。

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1億円事件 料亭で何が

 旧橋本派が日歯連からの一億円献金を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反(不記載)事件で、同派元会計責任者の滝川俊行被告(55)の初公判が二十四日おこなわれました。検察側の冒頭陳述と滝川被告の被告人質問で、事件の舞台裏が浮かんできました。

■「関係修復」狙う

 冒頭陳述は、日歯連が一億円を提供したねらいを明らかにしました。

 ――日本歯科医師会(日歯)とその政治団体である日歯連と、平成研幹部との関係は疎遠になっていた。日歯と日歯連の会長に就任した臼田貞夫被告は、二〇〇一年五月ごろ、今後、日歯連から歯科医療政策の陳情などをするためには、平成研の幹部との関係を修復しておく必要があると考えた。その旨を平成研幹部に伝え、橋本元首相、野中広務元自民党幹事長、青木幹雄自民党参院議員会長との会食が持たれた。

 ――臼田被告は、平成研幹部との関係修復のため、この際多額の寄付をしておこうと考え、金額を一億円と決め、一億円の小切手を準備した。

 つまり、一億円は医療行政に影響力のある同派からの便宜を期待するワイロというべき献金だったのです。

 〇一年七月二日、東京・港区の料亭「口悦」での会合で、一億円小切手を受け取り、背広の内ポケットに入れたのは橋本元首相。翌日、滝川被告に「はい、これ。日歯からです」といって小切手が入った白い封筒を渡しました。そのとき、元首相は「きのう、臼田とメシを食ってね」と滝川被告に話したといいます。

■派閥ぐるみ犯罪

 一億円を政治資金収支報告書に記載しないという決定は旧橋本派幹部会でおこなわれました。冒頭陳述や滝川被告の陳述はあまりにリアルです。

 収支報告書の提出期限が迫った〇二年三月、日歯連側から一億円の領収書発行を要請された滝川被告。領収書を発行し、収支報告書に記載すれば、「報道機関などの耳目を引き、選挙資金として費消されたなどとの指弾を受ける」と恐れ、元官房長官で同派会長代理だった村岡兼造被告と野中氏の指示を仰ぎました。

 同年三月中旬、同派幹部会の始まる前に指示を仰ぐと、「それは(他の幹部に)相談してみんといかんな」と村岡被告。「そうだね」と同調した野中氏。

 幹部会には、村岡被告、野中氏のほか、青木氏、上杉光弘元官房副長官も出席しました。「どういうもんかね」と提起した村岡被告に、上杉氏が「選挙の年だから(報告すると)目立つわな」と発言。ほかの幹部も「出さないことにしましょう」とのべ、村岡被告が「そういうことにしましょう」とまとめました。のちに、領収書を発行しないことで日歯連側の了解を得たと滝川被告が報告すると、村岡被告は「そうか、わかった。ご苦労さん」。野中氏も「ああ、そうか」。

 ここまでリアルに描かれた経過ですが、他方、別図のように同派幹部たちはこれまで「記憶にない」などととぼけたり、「ぬれぎぬ」と否定したりしてきました。一億円も記憶にない、という橋本元首相などは政治倫理審査会(三十日予定)での説明で逃げようとしています。ウソをついても訴追されず、公開もされないような政倫審では国民は納得しません。また、派閥ぐるみ犯罪なのに、起訴を逃れた野中氏、青木氏らの責任も重大です。


「迂回献金」 会計帳簿に

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日本共産党が迂回献金の“物証”として国会で追及した国民政治協会の領収書。右下に日歯連側が書き込んだとみられる「古賀」の文字が…

 日歯連から自民党の政治資金団体「国民政治協会」と党本部を経由した「迂回献金」疑惑でも新たな問題が出てきました。

 自民党の武部勤幹事長や小泉首相は、「迂回献金はなかった」と否定します。しかし、鈴木宗男元自民議員のようにみずからの迂回献金を告白する事例もあるほか、日歯連事件にかかわる迂回献金でも新たな重大事実が浮上しました。

 二十七日付の東京新聞によると、日歯連の会計帳簿には、国民政治協会あての献金(〇三年までの三年間に総額約十五億円)のうち、約三分の一にあたる五億三千三百万円について、実際の献金先とみられる二十人の国会議員名がしるされていました。

 この会計帳簿は検察が押収していますが、その内容を解明すれば、迂回献金の実態はさらに明確になります。これも国会の課題です。

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は、日歯連が石原伸晃元国土交通相、古賀誠元幹事長とみられる名前を書き込んだ領収書を明らかにし、両氏への迂回献金疑惑を国会で追及しました。今回明らかになった日歯連資料の国会への提出や、証人喚問でさらに疑惑解明をすすめることは十分に可能です。

 証人喚問を妨害する自民・公明はまさに疑惑隠し政党であり、その責任はきわめて重いものです。



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