日本共産党

2004年11月27日(土)「しんぶん赤旗」

02年のベネズエラ“クーデター”

事前に知りながら米は通告せず黙認

CIA文書を米紙掲載


 【カラカス=菅原啓】二〇〇二年四月十一日に発生した南米ベネズエラのクーデターを米政府が事前に察知しながら、現地のチャベス政権に通告せず黙認していたことを示す米中央情報局(CIA)文書が米紙ニューズデー二十四日付で報じられました。


 同紙によると、米国政府の最上級高官約二百人に配付した二〇〇二年四月六日付CIA文書は、「軍内の反主流派が今月の早い時期に、チャベス大統領に反対するクーデターを起こす動きを強めている」と報告。首謀者たちは、当時行われていた反政府デモや国営石油公社のストから生じる「不穏状態を利用するかもしれない」と述べていました。

 五日後の四月十一日、正体不明の狙撃者によるデモ隊への発砲を機に、国軍の一部が反乱を起こし、チャベス大統領が拘束されました。しかし、民主主義と憲法体制を守れと立ち上がった国民の大規模な抗議行動によって、クーデターで生まれた暫定政権は二日間で崩壊し、同大統領が復権しました。

 ベネズエラ政府は、クーデターの背景には、チャベス政権を敵視する米国の策動があったと主張してきました。米政府は繰り返し否定し、クーデターについて何も知らなかったと説明してきました。

 情報公開法で文書を入手したエバ・ゴリンジャー弁護士は、「民主的な政府が打倒されそうだと知っていたのなら、その政府に信号を送るとか、少なくとも進行中の事態について説明することをなぜしなかったのか」と米政府を批判しました。

 他国のクーデターを察知した場合は当該国に警告するのが、米国とベネズエラ両国が加盟する米州機構(OAS)の民主主義憲章にかなった対応だとの専門家の見解を同紙は紹介しています。

 米外交評議会のラテンアメリカ専門家ジュリア・スウェイグ氏は、事態は当時の米政権内の「信じられないほどの反チャベス感情を反映している」と分析しています。



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