日本共産党

2004年11月24日(水)「しんぶん赤旗」

今こそ生きる「資本論」の生命力

「21世紀と『資本論』のすすめ」 不破議長が講演

東京


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東京学習会議が主催、600人を前に=23日、東京・渋谷区

 日本共産党の不破哲三議長は二十三日、東京・渋谷区のあいおい損保新宿ホールで「21世紀と『資本論』のすすめ」と題して講演し、会場いっぱいの六百人が熱心に耳を傾けました。

 東京近県だけでなく、雑誌の広告を見て関西から参加した人もいます。奈良の井上佳映さん(41)は、「『資本論』全三部を踏まえた不破さんの講義をどうしても聞きたい」と深夜バスを使って参加しました。

 主催は東京の働く人たちの学習運動にとりくむ東京学習会議です。不破さんの『「資本論」全三部を読む』(全七冊)の刊行を機に、ぜひ不破さんに講演してもらおうと企画しました。

 講演実行委員長の浜林正夫・一橋大学名誉教授が主催者を代表してあいさつしました。

 不破さんはまず、表題の「二十一世紀」に込めた意味を二つの角度からのべました。

 一つはマルクスが新しい社会への「生みの苦しみ」の期間を少しでも短くし、和らげようという願いを込めて『資本論』を書いたことと重ねて、二十一世紀は「生みの苦しみ」が「いよいよ現実の世界的な課題となる時代」であり、「『資本論』が本来の意味で私たちが生きる指針になる時代」だということです。

 もう一つは、エンゲルスによる『資本論』編集(二部、三部)から百年余がたった今、マルクスの真意を読み取る上で二十一世紀ならではの有利な条件が開けていることです。

 不破さんの講演は、二つの角度を織り込みながら、五章立てですすめられました。そのうち四章は『資本論』を読むときに大事な点として、マルクスの生き方に寄り添って「友だちになる」ことから、人間の能力の全面的な発揮を展望した壮大な未来社会論への言及を含む「変革者マルクスが書いた著作として読む」ことまで、『資本論』や『草稿集』・手紙に触れつつ説き起こしました。

 講演の最後の章で不破さんは、マルクスが『資本論』を準備した時代は日本で言えば「遠山の金さん」が活動したり、「新撰組」が発足したりしたころに当たることを紹介し、「こういう時代に書かれた本が、二十一世紀に生きる指針とするに値するということがすごいことだ」と強調しました。こうした『資本論』の生命力の秘密は、最も深く太いところで資本主義の内面の論理を解明したことにあるとのべ、「科学の目」で時代と未来を見据えることの大切さを語りました。

 不破さんは、二十一世紀が、貧富の格差がどんどん広がり、不況を繰り返し、地球規模の環境破壊を招くなど資本主義そのものの存続の是非が問われると同時に、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国の世界における位置が大きく発展するなど、世界の構造の巨大な変化の時代となっている事実をあげ、二十一世紀が文字通り「新しい社会の生みの苦しみ」の時代であることを浮き彫りにしました。

 不破さんが「激動の二十一世紀を、私たちが『資本論』を学ぶ一人として、どうつかみ、どう見定め、どう生きていくか、それを課題にしながらお互いに勉強していきたい」と締めくくると、ひときわ大きな拍手が巻き起こりました。



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