日本共産党

2004年11月19日(金)「しんぶん赤旗」

タイトルカット

被災地はいま 新潟中越地震

観光産業に大打撃 新潟県内

地震ではつぶれずにすんだのに

“お客こず つぶれそう”

無利子 無担保 長期 融資など切実


 新潟県中越地震の影響で県内の観光産業が大きな打撃を受けています。例年、十―十一月の紅葉シーズンは一年でもっとも観光客が訪れるのにキャンセル続き。地震の直接被害がない観光地でも影響に苦しんでいます。余震が長引けばスキー客などへの影響も。「地震でつぶれなかったが、お客が来なくてつぶれてしまう」という声が聞こえる被災地の実態は…。

 阿曽 隆記者


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丸山スキー場のペンション=11日、新潟県塩沢町

 県旅館組合などのまとめでは十月二十三日の震災以降、今月十日までで約三十一万人が宿泊をキャンセル。被害額は四十億―五十億円にのぼります。実際に震災にあった中越地方の組合員にくわえ、余震の影響や交通機関が復旧しないため、佐渡市など全県的に被害が広がっています。

 同組合では、国に対して災害復旧貸付制度の融資枠拡大や条件緩和、交通機関の早期復旧などを求めています。

 町内に十六のスキー場と温泉をもつ湯沢町。川端康成の小説「雪国」の舞台にもなったところです。

電話はキャンセル

 不況の影響で集客は落ち込んでいますが、それでも昨年は六百五十万人が町を訪れました。そのうち四百三十万人がスキー客でした。二十日に苗場スキー場がオープンするのを皮切りに、シーズン本番は目前です。

 湯沢町温泉観光組合などによると、十月二十三日の地震までは、宿泊部屋の稼働率はほぼ100%。それが、地震後の一週間で宿泊キャンセルは一万八千人にも。十一月もすでに三万人のキャンセルがでており、被害額は十億円を超えます。

 「震災後は電話が鳴ればキャンセルばかり」と語るのはホテル「いせん」の専務、井口智裕さん。

 「年内は団体を中心にほぼ九割がキャンセルされ、予約台帳はまっ白です。新潟県がひとつになってPRすべき時です。震災を機会に新たな町おこしの機運も高まっていますが、当面の資金繰りはどこも大変です」と訴えます。

 湯沢町に隣接する塩沢町の林茂男観光協会会長も、「非常にきびしい状況。実感として息の根をとめられる感じがします」と語ります。

 塩沢町でも宿泊客の九割がキャンセルされました。町内七つのスキー場が十二月のオープンを待ちます。昨年は百三十四万人のスキー客が訪れた同町ですが、「年明けの宿泊予約はまったく入っていない」状況です。

影響は数年先まで

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新潟県の旅館のおかみたちが、東京・新宿のデパートの「越後の味新潟展」で「ぜひおこし下さい。地震に負けずがんばっています」とチラシを配りました=18日

 さらに、毎年同町を訪れている四国、九州からのスキー修学旅行がキャンセルされる状況になれば、影響は今シーズンだけにとどまらず、数年先まで及ぶと不安を募らせています。

 林会長は、「塩沢町は物理的な地震被害はほとんどない。しかし、山古志村や小千谷市が大変な状況のなかで、観光に来てくれとはなかなか大声では言えない。融資の返済猶予、長期低利子の融資制度の創設など手当てが必要だ」と訴えました。

 被害は旅館、ホテル業だけでなく飲食店など商店街にも大きく影響します。また、冬期間スキー場や民宿などで働く季節労働者の雇用にも大きくひびきます。

 被災地は、震災の復興対策として、無利子、無担保、長期の融資制度や、返済猶予への支援策などの緊急対策を切実に求めています。



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