2004年11月17日(水)「しんぶん赤旗」
【北京=小寺松雄】中国政府は十六日、日本の領海を侵犯した潜水艦が中国の原子力潜水艦であったことを認めました。武大偉外務次官が同日午前、阿南惟茂駐中国日本大使を外務省に呼んで伝えました。武次官は、原潜が通常訓練の過程で技術的原因から日本の領海に誤って入ったと説明し、遺憾の意を表明しました。
中国外務省の章啓月報道官は同日の記者会見で、「中国は日本側に通報した」として「この問題はすでに解決した」と述べました。
この原潜は海上自衛隊の対潜哨戒機が十日、沖縄県の先島群島周辺の日本領海内で潜行しているのを発見。日本政府は十二日になって中国海軍の原潜と断定、町村外相が中国の程永華公使を外務省に呼んで抗議し、謝罪を要求していました。
小泉純一郎首相は十六日夜、中国政府が原子力潜水艦による領海侵犯を認め、遺憾の意を示したことに関し「陳謝したと受け止めている。再発防止をしっかり求めていきたい」と表明しました。
首相は「こういう問題があるからこそ、お互い、友好発展のために協力していこうとの前向き対応が必要だ」と述べ、穏便に決着を図る考えを強調しました。
日本共産党の市田忠義書記局長は十六日、中国の原潜による領海侵犯事件について、次の談話を発表しました。
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日本共産党は、外国の潜水艦による領海侵犯事件について、問題の艦が中国籍であるのかどうか、領海侵犯が事実であるのかどうかについて、中国政府にたいして早急に調査するようもとめるとともに、それが事実であった場合に、中国政府としての責任ある態度を表明するようもとめてきた。
十六日、中国政府は、わが国の領海を侵犯した原子力潜水艦が中国籍であり、「通常の訓練の過程で技術的原因から誤って入った」ことを明らかにするとともに、遺憾の意を表明した。わが党は、この問題が前向きの解決にすすんだことに安堵(あんど)している。