日本共産党

2004年11月14日(日)「しんぶん赤旗」

被災者生活再建支援法

住宅本体への支援を

急がれる抜本改正


 日本列島を襲った台風や豪雨、そして、新潟県中越地震。被災者の当面する避難生活への緊急の支援策とともに、住宅再建に役立つよう「被災者生活再建支援法」の抜本的改正が急がれています。

建設・補修費 本体は適用外

 支援法では、被災者の「自立した生活の開始を支援する」ため、最高で三百万円(「居住関係経費」二百万円、「生活関係経費」百万円)の支給を定めています。

 しかし、被災者の要望に応えるうえで、現行法にはさまざまな見直すべき問題点があります。

 ひとつは、「居住関係経費」として認められるのが、住宅の解体(除却)・撤去・整地費や、住宅の建設・購入・補修のための借入金の利息などに限られており、被災者が強く要望している住宅本体の建設費や補修費が対象になっていないことです。政府が「個人財産は補償しない」という考えに固執しているからです。

 しかし、財産権の尊重、生存権の確保という憲法の精神に立てば、被災者の生活基盤を再建するための公的保障、個人補償は当然のことです。災害対策基本法も、その目的に「国民の生命、身体及び財産を災害から保護する」ことを定めています。

 新潟県の泉田裕彦知事も、「同じお金を使うなら、被災された住民がより早く生活を再建できる使途(自宅修理、生業再建等)に公費を使うべきであり、この点、至急改善されるよう強く要望します」(五日、志位和夫委員長への緊急要望)と表明しています。

 全国知事会は、大規模災害にかかわる「緊急提言」(十一日)のなかで、被災者生活再建支援法について「住宅本体の建築費、補修費を支給対象とするなどの制度の拡充を図るための法律改正を早期に行うこと」と要望しています。

一部破損では対象にならず

 一部破損の世帯は全く対象になっていない問題もあります。

 現行法で支援の対象になる世帯は、▽全壊した世帯▽半壊して倒壊防止などのやむを得ない理由で住宅を解体した世帯▽災害が継続して長期にわたり居住不可能な状態が続くことが見込まれる世帯▽半壊して大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)です。

 新潟県中越地震の場合、全壊は八百十七世帯、半壊千八百三十九世帯にたいし、一部破損は一万六千世帯を超えています(十二日現在)。この中には、建物自体は壊れていないように見えても、土台からひびが入って、建て直すか、大規模補修をしないと豪雪に耐えられない住宅もあるといわれています。

世帯の所得で大幅に制限も

 世帯の所得によっても支援対象は大幅に制限されます。図を見てください。

 「全壊世帯」で「世帯年収が五百万円以下」(二人以上世帯)の場合((1))には、「居住関係経費」として二百万円まで、生活必需品、医療費などの「生活関係経費」として百万円まで支給されます。

 しかし、同じ全壊でも図(2)の場合は、「居住関係経費」百万円まで、「生活関係経費」五十万円までと半減します。

 さらに、世帯所得が五百万円超で世帯主が四十五歳未満の場合は、支援の対象になりません。

 「大規模半壊世帯」((3))の場合は「居住関係経費」が百万円までで、「生活関係経費」は支給されません。

 松井信嗣記者

図


日本共産党 一貫して個人補償要求

 日本共産党は、九五年の阪神・淡路大震災直後の国会で、いち早く住宅再建のための個人補償、公的支援を要求。一貫して被災者への個人補償を求めてきました。

 いま開かれている臨時国会でも「住宅本体への補償など被災者生活再建支援法の抜本的な改正」(十月二十六日、塩川鉄也議員の衆院本会議質問)を求めました。

 四、五の両日には、志位委員長、市田忠義書記局長が新潟の被災地を訪問。九日には、被災者、被災自治体の切実な要望を踏まえ、小泉首相あてに緊急に申し入れをおこないました。被災者生活再建支援法については、▽住宅本体の再建への公的支援▽支給額の上限の大幅引き上げ▽被災者すべてに支援がゆきわたるよう、一部損壊を支援対象にすること▽所得制限を基本的に取り払うことなどを求めました。

 この場で村田吉隆防災担当相は、一部損壊の問題で「全壊、半壊の認定も弾力的に行う」と答えました。



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