日本共産党

2004年10月25日(月)「しんぶん赤旗」

京都議定書 ロシア下院の批准

国連中心の流れ示す

米国に復帰求める声強まる


 地球温暖化防止を目指す京都議定書は、二十二日のロシア下院の批准法案可決を受け、来年二月にも発効する見通しとなりました。法案の上院による承認、プーチン大統領の署名は、十一月十一日のロシア・欧州連合(EU)首脳会議までに終わるとみられます。ロシアの批准により議定書の発効条件は満たされ、このロシアの批准完了から九十日後に発効します。(モスクワ=田川実)

 批准法案の採決で野党三党は反対しました。ロシア共産党の議員は「米国などは国益に従い議定書には参加していない」と発言。ロシア自由民主党の議員も、米国を持ち出して反対討論を展開しました。

大統領の決断

 当初、議定書批准に積極的な姿勢を見せていたロシアが消極姿勢を強めたのは、二〇〇一年のブッシュ米政権の離脱声明の後でした。イラリオノフ大統領顧問(経済担当)ら政権・政界の反対グループは、米国の不参加を強調しながら、「議定書参加はロシアの経済成長に有害だ」と主張してきました。

 勢いづいた反対論を抑えたのは、一貫して国連中心の国際秩序づくりを唱えてきたプーチン大統領の政治決断です。下院が採択した法案は次のように述べています。

 「政府は、議定書がロシアの社会と経済にもたらす影響を精査するとともに、議定書が国際社会の協力発展に意義を持つこと、ロシアなしでは発効しないことを考慮して、参加を決定した」

 与党・統一ロシアのペトヒン下院副議長は、野党などの反対に対し、「京都議定書の批准はロシアの国際的な権威を高める」と発言しました。

EUの存在感

 ロシアの批准へ向けた動きで存在感を見せたのは、二〇〇二年に早々と議定書を批准していたEUです。EUは五月、ロシアの世界貿易機関(WTO)への加盟支持を表明、ロシアを動かすうえでの“決定打”となりましたが、EUは以前からロシアに批准を繰り返し働きかけていました。

 イラク戦争をブッシュ政権とともに強行したブレア英首相も、地球温暖化問題では他のEU諸国と足並みをそろえています。来年同国で開く主要国首脳会議では、この問題を主要議題にするとの方針を発表しています。

 ロシア下院の批准承認は、米国に対し議定書への復帰を求める国際社会の声を強めています。

 国連環境計画のテプファー事務局長、EU欧州委員会のバルストロム委員(環境担当)はそれぞれ二十二日、ロシアの動きを歓迎しながら、米国に議定書復帰を呼びかけました。

 一方、米政府は二十二日、京都議定書に復帰しない方針を改めて表明しました。十一月の米大統領選に立候補している民主党のケリー氏も、ブッシュ政権の議定書離脱を批判するものの、議定書への復帰を公約しているわけではありません。

 しかし、いずれの候補が勝つにせよ、来年一月の新政権発足の直後に議定書が発効すれば、米国への国際的な批判と議定書復帰への圧力は強まらざるを得ません。

日本にも責任

 議定書が締結された一九九七年の京都会議を主催した日本にも、大きな責任があります。米国への働きかけを積極的に行うとともに、EUとは対照的に遅れている温室効果ガスの削減を、抜本的に進める対策が求められています。

 世界自然保護基金・ロシアのココリン気象変動担当は、「議定書は地球温暖化防止の第一歩。義務付けられた二〇一二年までの削減だけでなく、温室効果ガスを減らす、より長期的な計画を今から作るべきだ」と指摘しています。


京都議定書で定められた主要先進国の温室効果ガス削減目標(1990年比)

 日本     −6%

 ロシア     0%

 EU     −8%

 米国(離脱)  −7%


 京都議定書 国連の気候変動枠組み条約を基礎に一九九七年に締結された地球温暖化防止のための拘束力を持った初の国際条約。(1)五十五カ国以上の批准(2)批准した旧ソ連、東欧諸国を含む先進国の二酸化炭素排出量(九〇年当時)の合計が先進国全体の55%となる―が発効要件。36%を占める米国の離脱により、17%のロシアの参加がカギを握っていました。発効すれば各国は、二〇一二年までに国別に決められた温室効果ガスの排出削減の目標を達成する義務が生じます。



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