日本共産党

2004年10月25日(月)「しんぶん赤旗」

新潟県中越地震

被災者襲う余震と寒気

死者22人、負傷者2000人超

時とともに広がる被害


写真

国道117号の崩落で落ちた自動車=24日、新潟・小千谷市

 震度6強の地震が三回あった新潟県中越地方は一夜明けた二十四日にも震度5強などの余震が続き、死者は二十二人、負傷者は二千人以上に上りました。一九九五年の阪神淡路大震災以降の地震で最悪の犠牲者です。高齢者や子どもが家屋の倒壊やショックで死亡するのが目立ち、小千谷(おぢや)市で約一万八千人など約六万五千人が避難を続けています。停電や断水も続き、新幹線では阪神大震災のように橋脚が破壊されるなど被害は深刻です。

6万5千人が避難

新幹線橋脚30本壊れる

 今回の地震は、震源が浅く、強い揺れとなる直下型地震。気象庁は同日、「二○○四年新潟県中越地震」と命名しました。

 地震による死者は小千谷市八人、川口町四人、十日町市三人、長岡市二人、山古志村二人、湯沢町一人、見附市一人、湯之谷村一人。

 二十四日になって新たに死亡が確認されたのは小千谷市で二人、長岡市二人、山古志村二人、湯沢町一人、川口町一人、見附市一人、湯之谷村一人。

 小千谷市では男性一人がショック死、女性一人が家屋倒壊のため死亡しました。長岡市では地すべりによる家屋倒壊で生き埋めになっていた男女二人の死亡が確認されました。山古志村で男女二人、川口町で女性一人が家屋倒壊で死亡。湯沢町ではホテル宿泊中の男性がショック死。見附市でも男性一人がショック死しました。

 山古志村では通信も途絶えて千三百人以上の住民が村内に孤立しました。

 家屋倒壊におびえて野宿する人も多く、寒さに震えて一夜を過ごしました。

 同県内では二十四日午後八時現在、約九万八千戸で停電。ガスが止まっているのは同六時現在で約五万六千戸。同七時現在、約十万九千戸で断水しています。

 県災害対策本部の二十四日午後九時現在のまとめによると、住宅の損壊は小千谷市や川口町を中心に全壊百五十六棟、半壊二百五十棟、一部損壊二千百七十七棟にのぼっています。十棟で火災がありました。

 県によると、道路が約千三十八カ所で損壊。山崩れやがけ崩れが八十二カ所で発生しました。

 「とき325号」が脱線した上越新幹線では、橋脚約三十本でコンクリートがはがれ鉄筋がむきだしになって破壊されているのが発見されました。新潟―越後湯沢間の復旧のめどは立っていません。

 新潟県では、今回の地震とよく似た直下型地震である三条地震(マグニチュード6・9)が一八二八年に起き、このときは千四百人を超える死者が出ました。


阪神大震災級の揺れ 防災研観測

 新潟中越地震で大きな被害が出ている新潟県小千谷市では、一九九五年に起きた阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)に匹敵する震動が観測されました。

 防災科学技術研究所(茨城県つくば市)によると、全国に約二十五キロメートルの間隔で設置されている強震観測施設(Kネット)のうち、小千谷観測点で、震動の最大加速度一五〇〇ガル、最大速度一三六カイン(いずれも水平、垂直三成分の合成値)が観測されました。兵庫県南部地震では、神戸海洋気象台で観測された最大値はそれぞれ八九一ガル、一一二カイン(同)でした。

 同研究所によると、地震被害をもたらす揺れの強さは、加速度と速度の両方が目安になるといいます。

 また、観測値は機器が設置されている地盤によって影響されるといいます。

 今回の地震で、新潟県十日町の観測点では、最高加速度一七五〇ガル、最高速度六五・六カインが観測されています。日本で観測された過去最高の加速度は、昨年五月に起きた宮城県気仙沼沖の地震の際の一五七一ガルといいます。


 カインとガル カインは速度を毎秒センチメートルで表した単位。ガルは、毎秒のカインの変化を表す加速度の単位。物が落下するときの加速度は九八〇ガル(毎秒毎秒九・八〇メートル)です。九八〇ガルを超す加速度では物が浮き上がる可能性があります。



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