日本共産党

2004年10月24日(日)「しんぶん赤旗」

大統領選終えたアフガン

進まない軍閥武装解除

米国の侵略で混迷つづく


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米軍の軍事行動で死んだ親類2人の墓前で祈る住民。1人は米軍に射殺され、もう1人は収容所で死亡しました=21日、アフガニスタン南東ラカン

 アフガニスタン国民が平和への願いを込めた大統領選挙(九日)で現職カルザイ氏が当選を確実にし、同氏は平和と民主主義を実現する国づくりという課題を担うことになりました。しかし、米軍の空爆、タリバンの爆弾攻撃が絶えず、平和への道はいまだに不透明です。各地方を軍閥が割拠する状態も続いており、国の統合も難題です。

■ 人事に注目

 アフガンで長く人道援助活動を行う非政府組織「ケア・インターナショナル(CARE)」が投票日前に実施した世論調査では、65%の人がアフガンの安定のためには軍閥の武装解除が重要と考えています。

 しかし、軍閥が抱える武装兵六万―十万人のうち、九月六日現在の武装解除は一万六千人にすぎず、国軍は来年までに七万人という目標のうち一万三千人組織されたにすぎません。ファヒム国防相(副大統領兼務)自身がタジク系軍閥リーダーで自らの武装解除に抵抗しているのが現状です。

 カルザイ氏は七月、ファヒム国防相を自身の副大統領候補からはずすことで武装解除の意思を内外に示しました。カヌニ氏やドスタム氏などの軍閥指導者が地元以外に支持を広げられなかったように、特定の軍閥が国民全体の支持を受けるのは不可能です。この「軍閥ノー」の国民の声がどれだけ政府人事に反映されるかが注目されます。

 人権団体は内戦時の軍閥による殺害、虐待、レイプなどを告発し、新政府や司法関係者に軍閥犯罪者がいないかどうか目を光らせるよう国民に呼びかけています。

■ 反米の動き

 米ブッシュ大統領はアフガン大統領選投票日に、「今日はアフガンを自由にした米軍兵士に米国民が感謝する日」と米軍のアフガン侵略を礼賛しました。イラク情勢の悪化に苦しむブッシュ政権が、アフガンの選挙実施をタリバン政権打倒の侵略戦争の成果だと描きだすのも、十一月二日の米国の大統領選挙を前に外交上の得点欲しさからです。アフガンでの選挙「成功」をイラクの選挙にも利用したいというもくろみもあります。

 しかし、米軍はもともとアフガンの選挙実施を目的に侵略したのではありません。米同時テロの指導者とされるビンラディンの引き渡しをタリバンが拒否したことへの報復でした。

 アフガンの選挙実施は、アフガン国民の平和と民主主義への熱意と襲撃をもおそれなかった勇気、そして国際社会の支援のたまものでした。米軍はむしろ侵略戦争とその後三年間のタリバン一掃の軍事作戦での空爆による住民殺害などにより、タリバンら武装勢力に「反米聖戦」、選挙否定の口実を与えてしまいました。また、タリバン一掃を優先する思惑から、軍閥を買収、支援し、その延命に手を貸してきたのでした。

 投票日後も武装勢力による爆弾攻撃が続いています。十八日にもパクティカ州で選挙管理委員会の車が爆破され五人が死亡しています。米軍が三年かけてもテロを防止できません。来春の国会選挙も武装勢力の襲撃を懸念しながら迎えることになりかねません。外国の軍事力によるアフガンの平和と民主主義、復興はありません。(ニューデリー=小玉純一)



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