日本共産党

2004年10月16日(土)「しんぶん赤旗」

高知・橋本知事はなぜ辞職?

非核港湾条例や情報公開実現

県民本位の改革で信を問う


 高知県の橋本大二郎知事が、自民党と県民クラブ(民主党、社民系)が提出した辞職勧告決議案の可決を受けて辞職しました。一連の動きを通して見えてくるのは、県民本位の県政改革に、逆流を持ち込もうとする勢力による、改革つぶしの動きです。高知県・浦準一記者


道理ない自民などの辞職勧告決議

写真
辞職して県民の信を問う意思をのべる橋本県知事
=8日、高知県議会

 橋本県政は非核港湾条例の提案、情報公開条例の制定、念書・覚書の公開、県議などの口ききの公開、子どもを主役とする「土佐の教育改革」の推進、ゆがんだ同和行政の終結など、県政改革を進めてきました。

根拠はメモだけ

 改革つぶしの糸口にされたのが、橋本知事が初当選した九一年知事選挙で橋本陣営に関与した笠誠一氏のメモ。昨年九月三十日、県知事選挙直前の九月定例県議会で自民党県議が、橋本陣営に宿毛市の坂本ダム工事の談合に関係した企業からの資金が流れていると追及。橋本知事は「関知していない」と否定しました。社民党らの会派である県民クラブは自民党に呼応して議事進行発言で即座に百条委の設置を求めました。

 無所属の一人を含む会派「日本共産党と緑心会」は、一片の個人のメモだけで「一方的かつ政治的ねらいに乗ずる対応は議会としてすべきでない」と百条委員会の設置に、反対しましたが、自民党らが多数で設置しました。

 昨年十一月におこなわれた知事選挙は、高知市長を辞して出馬した松尾徹人氏と橋本知事との一騎打ち。松尾氏は自民党県連と社民党が推薦、公明党県本部が支持、民主党が「協力候補」と決定するなど総がかりの布陣を背景に選挙資金疑惑の知事ではだめだと激しく攻撃しましたが県民の支持を得ることはできず、橋本氏は大差で四選をはたしました。選挙後、百条委員会は今年の九月十三日まで約一年間、調査を続けました。

証言は二転三転

 調査のなかで、笠氏本人が、談合で坂本ダム工事を受注した企業から選挙資金を得たとする当初の発言を、「あくまでも推測の域を出ない」などとして無責任に証言を変更。結局、百条委の調査では、談合を示す事実も証拠も見いだせませんでした。

 また、笠氏自身が証言をころころ変えて、坂本ダムの談合による選挙資金の提供というスジが崩れているにもかかわらず、自民党らは、無理やり「談合がおこなわれたと認めざるをえない」と断定。知事の関与について「疑問が残る」とする、百条委員会報告書を強行採決しました。

 橋本知事は九月県議会で、あらためて「関与も関知もせず」と明言しつつ、十月末に文書で県民に説明をすると答弁していました。これは「知事の可能な限りの説明責任」を求めた百条委員会の報告にも、こたえるものでした。

 それにもかかわらず、自民党と県民クラブは四日、「知事は疑惑を一向に晴らそうとしていない」「県民に不信感を与えた」などとして「知事に対する辞職勧告決議案」を提出しました。これは、百条委員会報告の結論からみても道理のないものでした。

候補者選び迷走

 辞職勧告決議案は九月定例県議会最終日の八日、自民党、県民クラブ、公明党らの賛成で可決しました。決議そのものは法的拘束力のないものですが、県政改革を進めるうえで、県民の支持を重視する立場で、県民の信を問うとして橋本知事は辞職しました。

 知事選挙は、十一月十一日に告示(二十八日投票)されます。昨年、立候補した松尾前高知市長が立候補するとみられていましたが、各党が白紙を表明。「松尾氏では勝てない」と候補者選びは迷走しています。

 日本共産党高知県委員会の佐竹峰雄委員長は「辞職勧告決議は橋本知事の追い落としという政治的思惑に貫かれた、きわめて不当なものである。私たちは、県政改革への逆流を許さず、橋本県政の継続・発展を支持する立場で知事選挙にのぞむ」とする談話を発表しています。



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