2004年10月15日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】十一月二日の投票日まで約三週間と迫った米大統領選の最後のテレビ討論が十三日、アリゾナ州テンピのアリゾナ州立大学で開かれ、現職のブッシュ共和党候補とケリー民主党候補が経済・内政分野で論戦を展開しました。失業や医療保険など、内政の最大の焦点となっている問題で、ブッシュ氏の論争回避が目立ちました。
経済分野の大きな柱である自由貿易拡大に伴う自国での失業拡大で、ケリー氏は、ブッシュ政権発足後に就業者数が八十万人以上の純減を記録したと批判。一方、ブッシュ氏は「米国での経済成長と雇用維持にむけた最善の策は教育システムが働くことだ」と職業訓練に触れるにとどまりました。ケリー氏はさらに、財政赤字が最悪を記録し、ガソリン価格が上がり、賃金が下がり雇用状況が悪化しているのに「この問題を無視した」と批判しました。
ケリー氏が労働者の最低賃金引き上げの必要性を説いたのに対し、ブッシュ氏は「労働者にとって大事なのは教育システムが働くことだ」と発言しました。
ブッシュ氏は「(ケリー上院議員が)増税予算案に九十八回賛成し、減税予算案に百二十七回反対した」などと、ケリー氏の過去の投票行動を批判。しかし、金持ち優遇の大型減税以外、経済や失業問題で明確な施策を示しませんでした。
内政の一大焦点となっている医療保険制度でケリー氏は「ブッシュ政権下で五百万人が医療保険を失った。子どもの医療保険がないのは先進工業国で最も裕福なこの国だけだ」と指摘。子どもを含めた医療保険加入者の増加、貧困者向けの社会保障制度(メディケイド)の拡充を公約として掲げました。
これに対しブッシュ氏は「(試算では)十年間で五兆ドル(約五百五十兆円)もかかる公的な医療保険制度は空疎な公約だ」「政府が管理する他国の医療保険は貧弱だ。米国の制度は世界がうらやんでいる。政府による制度は貧困を招く」と反論。公的な保険制度を完全否定したうえで、無保険者増加にむけた具体的な解決策は、製薬会社などへの訴訟を減らすことだと述べました。
討論会直後のCNN、CBS両テレビ局の世論調査では、ケリー氏が13―14ポイント優勢との結果が出ました。ケリー氏は過去二回のテレビ討論を通じ、支持率をばん回。ほぼ互角となっています。