日本共産党

2004年10月3日(日)「しんぶん赤旗」

本場の野球観変えた

ファンへの最高のメッセージ


 夢を追いつづける日本の野球少年が、ベースボールの歴史に新たな一ページをしるしました。

 「ICHIRO」の出現は、大リーグの野球観を変えたといわれます。いままでパワーヒッターのホームランに熱狂してきた本場のファンは、自在のバットコントロールで内外野の間を抜く打撃技術、足に羽がはえたような走塁、鉄壁の守り―三拍子そろったイチローのプレーの質の高さに新鮮な驚きをみせました。

 イチローを語るとき、外せない二つのキーワードがあります。それは、継続性と向上心です。

 プロ野球選手を目指し幼いころから父親と二人三脚で練習に励み、高校は野球強豪校へ。念願のプロ入り後も野球の練習で手を抜いた記憶はないといいます。かつてオリックスのキャンプを取材したとき、イチローは、マシンを相手に五時間も六時間も打ちつづけていました。周りが天才などと呼ぶなかで、努力の積み重ねの大切さをだれよりも自覚していました。

 十年前。みずから編み出した「振り子打法」で日本プロ野球初の200本安打を達成した試合後、「次は210本を目標にします」と淡々と口にし、実現したことが強烈に印象にのこっています。そのあくなき向上心は、毎年、少しずつフォームを変化させているいまでも変わりません。

 当時のほっそりとしていた体は、トレーニングを積み、「ユニホームを脱ぐと鋼のような肉体」(仰木・元オリックス監督)に進化しました。力がありながらけがに泣く選手も多いなかで、イチローの徹底した自己管理はプロフェッショナルにふさわしいものです。

 「いつも、いまの自分をこえたいと思ってやっている」。イチローの生き方は、多くのファンへの最高のメッセージです。

 代田幸弘記者



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