日本共産党

2004年10月2日(土)「しんぶん赤旗」

神奈川・厚木基地

爆音が胸押しつぶす

きょうにも米軍最新鋭機追加配備


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 胸を押しつぶすような金属音が、今日も人々の頭上にとどろきました。神奈川県中部の大和市に位置する米海軍厚木基地(神奈川県)。最新鋭の戦闘攻撃機FA18Eスーパーホーネット(1人乗り)13機が、2日にも追加配備されます。



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爆音をあげて離陸する米空母キティホークの艦載機FA18Cホーネット=1日、神奈川・米軍厚木基地

 同機は、横須賀基地(神奈川県)を母港にする空母キティホークの艦載機部隊、第二七攻撃戦闘中隊(VFA27)が使用します。厚木基地にはすでに昨年、FA18F(二人乗り)スーパーホーネットが十三機配備されており、合計二十六機となります。

 FA18スーパーホーネットは、激しい爆音をまき散らし、米国でも社会問題化しています。騒音値は国内最悪の水準(別表)で、年間飛行回数が三万回に達する同基地周辺の住民は懸念を強めています。

 米海軍は二〇〇八年までに、空母艦載の戦闘機をすべてFA18E、Fに切り替える方針です。厚木への追加配備はこの方針に沿ったもので、米軍が今後、長期にわたって横須賀を米空母の母港として使用する意図を示したものといえます。

米国でも問題に

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米空母キティホーク艦載機による騒音被害が深刻な米海軍厚木基地。民家と接するように並ぶ飛行機は昨年来配備が増強されているFA18Fスーパーホーネット=1日、神奈川県

 同機は、旧型のFA18ホーネットに比べて機体が大きくなっています。それに伴い、エンジン出力が35%増大。その騒音は米国でも社会問題となっています。

 大和市は四月末、スーパーホーネットが配備されている米海軍オセアナ基地(ノースカロライナ州)を視察。土屋侯保市長は、「市民に被害が生じている点は共通だが、厚木基地周辺の方がはるかに深刻」との所感を出しました。

 オセアナ基地に接するバージニア・ビーチ市は人口四十万人、面積八百平方キロに対して、大和市は二十二万人、二十七平方キロです。オセアナ基地と市街地の間には、樹木で覆われた広大な緩衝地帯があります。しかし厚木基地の場合、フェンス際まで住宅が密集しています。同基地所属機の飛行ルート直下の人口は百五十万人に達します。

 それでも、オセアナ基地ではスーパーホーネット配備反対の住民運動が起こり、米軍は訓練場の移転を表明。ところが、移転候補地でも反対運動が起こり、連邦地裁が四月、新基地建設の差し止めを認める仮処分決定を下しました。


騒音除去いうが

 現在、日米両政府は在日米軍の再編協議を行っています。ファーゴ米太平洋軍司令官は九月二十三日、米上院軍事委員会で、「長期間、放置されている騒音の除去のため、日本政府と緊密な作業を行っている」と証言しました。

 日本国内には米空軍三沢基地(青森県)、横田基地(東京都)、嘉手納基地(沖縄県)、米海兵隊普天間基地(同)、岩国基地(山口県)といった航空基地が集中。いずれも人口密集地に位置しており、周辺住民は爆音に苦しんでいます。

 しかし、現在検討されているのは、厚木・岩国両基地の統合案など、単なる基地たらい回しにすぎません。「騒音除去」をいいながら、最新鋭の米軍機配備が着々と進められているのです。

 竹下岳記者



怒る住民

“政府はここで生活してみろ”

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 従来の空母艦載機でも、爆音が忍耐の限度を超えているにもかかわらず、さらに爆音の大きい艦載機が米海軍厚木基地に追加配備されることに、基地周辺の住民からは、不安や怒りの声があがっています。

 一日も、戦闘機が厚木基地を離陸。午後四時すぎから次々と着陸に入りました。

 真上を通過すると、ゴーという爆音で、道路のアスファルトが震えます。胸が圧迫される苦しさを感じる爆音です。

 米軍機の飛行コースの直下でクリーニング店を営む女性(65)=神奈川県大和市=は「(配備を)やめてほしい」と訴えます。

 飛行直下に引っ越してきたのは二十五年前。爆音のすごさに「屋根が持っていかれるのでは」と驚いたといいます。飛ぶと、心臓が高鳴り、一人で部屋にいるのが怖いときもあったといいます。

 「飛行機が飛ぶと、地響きがするんですよ。毎年、夏休みに、大阪から幼稚園に行き始めた孫が遊びにくるけど、飛行機が飛ぶと『怖い』といって、しがみついてくるんです」

 厚木基地爆音防止期成同盟の鈴木保委員長(78)は「昨年十一月にスーパーホーネットが配備されたが、爆音はさらに重く、ひどいものになった。米軍機は編隊で離陸もする。米軍のパイロットは、人の心がわかっていない」といいます。

 「スーパーホーネットの配備の中止・撤回を、何度も国に要請しているが、われわれの思いは踏みつけにされている。二十八年間、爆音を訴える訴訟をやってきて、今の爆音は違法という判決も出ている。なのに、国はまったくの無策だ。政府は一度、現場にきて生活してみろといいたい」

 田中一郎記者



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