2004年10月1日(金)「しんぶん赤旗」
アフガニスタンは九日に同国初の大統領選挙を迎えます。ソ連の侵略後四半世紀の戦乱をへて、同国女性の平均寿命は四十六歳、識字率は21%といわれます。今回の選挙は一九六〇年代の国会選挙以来で、多くの女性にとって初めての選挙体験です。(カブール=小玉純一 写真も)
![]() ホリヤ・モサディクさん |
国連とアフガニスタン政府合同の選挙管理委員会(合同選管)が発表した有権者登録一千万人余のうち女性は約41%。地域や部族によって、ばらつきがあります。
女性の有権者登録活動を取材した女性ジャーナリストで弁護士のホリヤ・モサディクさん(31)によると、地域社会に女性指導者はいません。そこで選管関係者は、まず地域のリーダーや宗教的指導者(男性)に選挙の意味や仕組みを説明し、次に彼らが家族の長(男性)の集まりで説明し、各家族で男性が女性に説明する手順を取りました。男女別の登録所で女性を担当したのは、合同選管が組織した、読み書きができる女性たちです。
![]() 10月9日の大統領選挙投票を呼びかけるポスター。男性と女性が対等に描かれています=9月24日、カブール |
「私が見聞したカブール周辺の村々では地域の長たちに選挙への抵抗はなく、むしろ歓迎でした。ただ、ある登録所では『王を選ぶのよね』と話す女性がいました。現職のカルザイ大統領は彼女にとってカルザイ王です」―ホリヤさんは言います。
無党派の女性政治新聞「新しい道」が報じた、同国南部の中心都市カンダハルの登録所でのこと。選挙の説明も受けて有権者登録証を手にした女性が叫びました。「家ではこれを隠しておかないと。もし夫に見つかったら殺されてしまう」
週刊紙『カブール・ウィークリー』が報じた米国の公益法人・アジア財団の最近の調査によると、87%の女性が投票には夫の許可がいると答え、同国南部の24%、北西部の32%の男性が妻に投票させないと答えています。
「新しい道」紙には、「選挙権をもって光栄に思う」という学生の投書とともに、「有権者登録した農村女性は読み書きができず、選挙の知識がない。選挙が行われても彼女たちが正しい人物を選べるとは思わない」という学生の意見が掲載されています。
大統領候補十八人のうち女性は一人。立候補の勇気をたたえる声とともに、「男性優位のアフガニスタンで女性が部下の男性を動かせるはずがない」などという女性の声も報じられています。
米軍が東・南部で三年近く軍事作戦を行って一掃しようとしている武装勢力のタリバンらは、「選挙は米国のアフガニスタン支配のためだ」として選挙破壊を公言。六月にはジャララバードで、登録活動に従事する四人の女性がバスの爆破で死亡する事件も発生しました。
「死亡事件が起きても登録活動は進められました。登録活動に従事した女性たちは、今度の選挙で『女性にも能力がある』ことを示したいのです。多くの女性が選挙に参加すれば、選挙後の政府の女性施策にも影響を及ぼせるでしょう」―ホリヤさんは話します。
「新しい道」紙の論説は「爆弾の脅威だけでなく、『女性は政治に参加すべきでない』と考える夫、父、兄弟によって、女性たちの安全は脅威にさらされている」、不正な有権者登録も報告されているが、多くの国民が登録したのは「国中の選挙関係者とアフガニスタン国民の勇気と努力の証拠だ」と指摘しています。