日本共産党

2004年9月27日(月)「しんぶん赤旗」

職場を変えよう 草の根から

サービス残業なくす心意気

東京へ900キロ かけつけ団交

北海道・苫小牧地区労連


 「私のために、九百キロも離れた東京まで出かけて交渉してくれました。困ったときに親身になって相談でき、プロ野球選手会のように一人ひとりの仲間を大切にする労働組合って、すごい」。北海道南部、新冠町の小俟(こまた)修さん(29)は、上気した表情で語ります。全国展開をする、たこ焼きチェーン店「築地銀だこ」の静内店の店長として働いています。

 小俟さんが労働組合を知ったのは、長時間勤務で悩んでいた時でした。妻の陽子さん(33)の友人に苫小牧地区労連を紹介され、建交労苫小牧地域支部に加入しました。

 八月はじめ、会社に加入通告と団体交渉を申し入れると、「交渉の場は東京にしてほしい」と回答があり、今月三日、地区労連役員と一緒に上京し、羽田空港内にある会議室で交渉しました。

有給休暇取れず

 小俟さんは二〇〇〇年四月、アルバイトとして入店。翌〇一年七月、店長に採用されました。店舗の営業時間は、午前十時から午後八時までで、一日八時間労働になっていますが、実際には十一―十二時間におよぶ長時間勤務が常態化。休暇も月に一―二日しか取れないことがしばしばです。

 小俟さんは、店長就任から〇四年七月の三十七カ月間のうち、残業時間が百時間を超えた月は、ほぼ半数の十七カ月ありました。年次有給休暇はこの間、一度も取っていないといいます。店を閉め、帰宅してからも売り上げの計算、帳簿、伝票類の実務と深夜まで仕事に忙殺される日々です。

 陽子さんは「夫は責任感が強く、思いやりのある人です。最近は体の調子がすぐれないようで、心配しています。会社のトップの人たちは、不払い残業をなくし、労働条件を改善して、気持ちよく働けるようにしてほしい」と話します。

賃金格差をつけ

 小俟さんは五月、意を決して「長い時間外労働を何とかしてもらえませんか」と銀だこ本部に訴えました。本部から静内に調査に来て、「基本給を引き上げる」と連絡があり、その月から賃金が若干あがりました。

 その直後に、「店長給与を七月から見直す」と再度連絡があり、内容を見て、小俟さんはあぜんとしました。店長の役職手当を五万円ぽっきりとするというものでした。

 本部連絡はまた、「現行の役職手当をランクに応じた新役職手当と技能評価の二本建てとし、より高い手当を獲得できる機会をつくった」と賃金格差をつけようとしています。パートやアルバイトの残業代も、請求できないよう同意書を店舗に送りつけています。

残業なしの一点

 「待遇がこんなに次々悪くなるのなら、この先どうなるかわからない」と怒り、地区労連に駆け込んだのでした。

 小俟さんは、地区労連役員と一緒に未払い残業代を算出。要求書を作成し、回答を求めました。会社側は、店長が管理監督者で残業をしても対象にならないとの一点張り。十月の交渉は苫小牧で行うと約束しました。

 小俟さんはまた、サービス残業の実態を浦河労働基準監督署に申告しました。地区労連も、会社を一刻も早く調査し指導するよう再三、同労基署に要請しています。

運転に支障なし

 「私のケースも、地区労連のみなさんが札幌の地労委へ同行してくれました」。千歳市内のガソリンスタンドに勤めていた岡本三郎さん(53)はうれしそうに語ります。

 岡本さんは一九九六年六月、サン石油に就職。工事部に勤務してきましたが、会社は二月、「視力の減退に伴い、車両の運転に支障があり、業務に不適格」といって、解雇を通告しました。

 「視力は、右目はいまでも裸眼で一・二あり、車両の運転に支障はありません。入社時の面接で専務にお話しし、了承されていたものです」

 曲がったことが大嫌いの岡本さんは「納得いかない」と労基署、弁護士事務所、役所とあちこちに相談したものの、らちがあかず、困り果てていたとき、知人の紹介で地区労連にたどりつきました。応対した森下克弘事務局長は、丁寧に話を聞いて、ただちに行動してくれた、といいます。

 岡本さんはいいます。「この年まで労働組合にかかわらずにきましたが、地区労連のみなさんの援助には本当に感謝しています。北海道は高校野球の初優勝に続き、日本ハムの暫定プレーオフ進出と話題が広がっています。私も経営側の身勝手を連帯の力で押し返した選手会のように、元気いっぱいたたかいます」名越正治記者



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