日本共産党

2004年9月26日(日)「しんぶん赤旗」

ここが知りたい特集 消費税増税

政府税調 財界

消費税増税 二つの口実


 政府税調が消費税の二ケタ増税へ向け本格的な議論をはじめました。消費税論議のたびに増税派から持ち出されるのが「福祉のため」「財政が大変だから」という理由です。これは、どこからみても通用しません。



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「福祉のため」というが…

 「消費税(率引き上げ)の議論は避けられない」という政府税調の石弘光会長(二十一日の税調総会後の記者会見)。その理由は、社会保障の財源づくりでした。

 これが口実にすぎないことは、過去の実績をみれば明らかです。

 一九八九年に税率3%で導入された消費税。当時も導入の理由の一つは、「高齢化社会の対応」(八八年四月、政府税調の中間答申)というものでした。

 福祉は充実されたでしょうか。導入後十五年、政府は、医療、年金、介護など、社会保障制度を相次いで改悪。〇五年度予算編成でも社会保障費の自然増分を二千二百億円圧縮する方針です。

 では、消費税で集めた税金はどこへ消えてしまったのでしょうか。

 八九年の導入時から、国民が支払った消費税額の累計と、法人税の減収額はほぼ同額になります。法人税の減収分の穴埋めに、消費税が使われてきた計算になります。

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 二〇〇七年度に消費税を10%に引き上げ、その後も段階的に増税することを提言している日本経団連。社会保障財源の確保が理由になっていますが、社会保障給付は大幅に削減することが前提です。狙いは税と保険料の大企業負担を軽くすること。そのための消費税増税です。

 〇五年度税制「改正」に関する提言をみても、「法人実効税率の5%程度の引き下げを早急に断行すべき」と大企業の負担軽減を消費税増税とセットで求めていることがミソです。

 もともと消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなる“福祉破壊税”です。福祉にもっともふさわしくない税金を、「福祉のため」などといって増やそうというのは許されません。

「財政再建のため」というが…
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 消費税増税のもうひとつの口実は「財政再建のため」というものです。

 日本経団連が発表した消費税増税に向けた新たな試算(十三日)は、消費税を増税しなければ、今でも大変な財政は大破たんになるというものでした。

 ちょっと待ってください。財政を破たん状態にさせたのは、だれの責任なのでしょうか。

 消費税が導入された八九年に、約二百五十四兆円だった国と地方の長期債務(借金)残高は〇四年度には七百十八兆円(当初予算)にまで膨れ上がりました。国民一人あたり約五百六十万円になります。

 この間に何があったのでしょう。バブル崩壊後の長期不況が続いた九〇年代。政府は、「景気対策」の名で大手ゼネコンが喜ぶ公共投資を相次いで積み増してきました。その額は国と地方、公団あわせて年約五十兆円にもなりました。九〇年代末からは大銀行への巨額の税金投入が続きました。

 大企業減税(法人課税減税)をする一方で、こんな税金のつかい方をしていたら、財政が破たんするのは当たり前です。

 財政破たんに、なんの責任もない庶民に、消費税増税という形で、しわ寄せするのは、おかど違いです。

税金の使い方、集め方 「国民第一」に

こうしてこそ社会保障充実や財政再建の道も開ける

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 消費税の増税は、個人消費を冷やし、物が売れなくなって企業業績が悪化し、税収が落ち込んで、財政が悪化し、また消費税の増税に頼るという悪循環を招くだけです。

 消費税増税がいかに、景気の足を引っ張るかは、橋本内閣が九七年に国民に押し付けた消費税増税と医療改悪などの九兆円の負担増の影響をみても明らかです。

 消費税をいまの5%から10%に引き上げたら、年十二兆円の負担増となります。小泉内閣のもと、今年十月以降の負担増が年約三兆円(〇六年度時点)、計画されている定率減税の廃止で年約三兆三千億円の負担増となることとあわせて考えると、その影響ははかりしれません。

 日本共産党は、消費税増税に頼ることなしに、社会保障の充実や財政再建の道をすすめることを提起しています。それは、大企業・大銀行の応援を最優先させるゆがんだ政治を改めれば、可能です。

 浪費型公共事業や軍事費など、予算のムダをあらためれば、国、地方あわせて新たに十兆円程度の財源を生み出し、国民のくらしと社会保障に振り向けることができます。

 空前の利益をあげる大企業に、ヨーロッパ並みの税と社会保障の負担を求めれば、国、地方あわせて約八兆円の財源を計画的に確保することができます。

 税金の使い方、集め方を「国民第一」に土台から改革すれば、財政危機打開の道も開きながら、安心できる社会保障制度を築くことができます。



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