日本共産党

2004年9月21日(火)「しんぶん赤旗」

ヘルパー、非常勤でも労災保険加入できる

愛知 団体つくって特別加入

“腰痛でも補償されました”


 「仕事で腰痛になり休業。でも労災保険で安心」――。愛知県で働く非常勤のホームヘルパーが労災保険(労働者災害補償保険)を適用され喜んでいます。同ヘルパーは、個人では労災保険に加入できないため、自ら労災保険に「特別加入」できる団体をつくりました。同県江南市の介護作業従事者団体「ヘルパー・サポート」です。鮫島 克記者

 「保険に入っていて良かった。休業中の(保険料に応じた)補償と、療養費の全額が補償されます。安心して治療に専念できます」と語るのは、同県一宮市の女性ヘルパー(62)。「腰を守るために、コルセットを巻いて仕事をしていたのですが、寝たきりの人を車いすに乗せるときや、ベッドから起こし上げるときに背筋が『グキッ』となり、腰痛になってしまったんです」

約八割が登録型

 厚労省によると、ホームヘルパーは全国で二十六万人以上(二〇〇二年十月一日現在)。そのうちの約八割が登録型のヘルパーです。登録型のヘルパーは、正規雇用ではなく、名前を事業所に登録して、仕事を請け負います。事業所に紹介された利用者宅に、ヘルパーの自宅から直行して、直帰する働き方です。介護保険制度による報酬が低いため仕事が不安定で、労働条件は劣悪。それを理由に短期間でやめる人が多いといわれます。

 同団体の大島逸子理事長も週四―五日、一日三―四時間程度働き(利用者宅から利用者宅への移動時間と空き時間を含まない)、月約七万五千円にしかなりません。「半分ボランティアのつもりでやっています。身内を介護した経験を社会に生かしたいと思い、始めたことなので、続けられています」と大島さん。

 ヘルパーは、家事の援助や身体介護などを行います。入浴やおむつの交換は、利用者の体を起こしたりする、腰などに大きな負荷がかかる重労働です。腰などを痛めると、治るまで仕事を続けられない恐れがあります。しかし、訪問先を紹介されて請け負う非雇用・登録型のヘルパーは、国の制度である労災保険に個人で加入できません。業務中にけがや病気をしても何の補償もありません。仕事ができなければ、収入はゼロになります。

 大島理事長は「私もコルセットを巻いてヘルパーの仕事をしているのですが、腰痛です。実際、泣き寝入りしている人たちが多いと思います」と話します。

半年がかりで

 「この現状を何とかしたい」と社会保険労務士(51)が、非常勤ヘルパーでも労災保険に加入できる「労災保険・介護作業従事者特別加入制度」の存在を知りました。同制度を具体化した例が全国にあまりなく、愛知労働局と相談し、労災の事務手続きのできる団体を、半年がかりで、一昨年十一月につくりました。年間一人当たり、会費一万二千円、保険料約一万三千円で運営しています。

 同氏は「本来なら、非常勤のヘルパーも、事業者によって労災保険に入れるようにしないといけないと思っています。ヘルパーが安心して働ける条件をつくってこそ、利用者のサービスもゆきとどくと思います」と話していました。



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