2004年9月8日(水)「しんぶん赤旗」
![]() 爆発事故を起こした静岡市沼上清掃工場 |
現在、全国の一般廃棄物焼却施設数千六百五十二(二〇〇一年度実績)のうち、灰溶融併設施設が四十九(二〇〇四年現在五十九)、直接溶融十三、ガス化溶融・改質炉十五と、灰を溶融固化する施設は全体の5%弱となっています。
ところが、環境省は、新しいごみ焼却処理施設建設は、灰溶融機能をつけなければ補助金の対象にしないとして、焼却灰の溶融・固化施設の設置を強制的に自治体に押しつけてきました。
この国の方針に対し、全国都市清掃会議をはじめ、各地の自治体が補助要件について、「各市区町村の実情に応じて溶融固化設備を付置しないごみ焼却施設整備についても国庫補助の対象とするよう」求めていました。
自治体の要求の背景には、灰溶融施設は技術が未熟で、各地で事故が頻発していること、建設費用はもちろん、燃料、資材交換等のランニングコストが従来の炉に比べて非常に高く、地方財政を圧迫し、住民負担が重くなることがあります。
さらに、なんでも燃やせるということから、ごみの分別資源化がかえって不必要になり、資源循環型に逆行することになること、溶融スラグの安定した利用先がなく、そのまま最終処分場に埋め立てざるをえないことになるなど、従来のごみ施設と比べて否定的要素がたくさんあることが明確になっています。
一方、ダイオキシン対策であれば、八〇〇度以上で燃やせる従来型の炉であれば十分であり、これが知られるようになってきたことがあるといえます。
こうした自治体の国庫補助対象見直しの要求が高まるなか、環境省は二〇〇三年十二月に、「(1)焼却灰をセメントや各種土木材料等として再生利用する場合(2)最終処分場の残存容量が、おおむね十五年以上確保されている場合(3)離島であるなど溶融固化設備を整備することが合理的でないと判断できる場合」の三条件のうち、どれかを満たしていれば、灰溶融施設を設置しなくてもよいという事務連絡を自治体向けに行っていました。
しかし、これでは条件が厳しすぎるのと、二〇〇〇年に制定された資源循環型社会推進法によって、ごみの排出削減に積極的に取り組む自治体の姿勢、政策がまったく評価されずに、依然として、灰溶融固化施設を押しつけられることになるため、自治体は反発していました。
そのようなもとで、新型灰溶融施設での相次ぐ事故の発生と地方自治体の財政がひっぱくするなか、ついに環境省も最新鋭施設押しつけではいかなくなりました。
二〇〇四年二月九日の一般廃棄物行政主管課長会議で「これによりがたい合理的事情がある場合には、個別にご相談願いたい」と、三条件に固執しない旨を明確にし、国会でも「自治体の意見は十分に聞いて、これからも中身については検討していきたい」(〇四年四月二十日、参院環境委員会での環境省答弁)と、自治体の意向にそって柔軟に対応すると約束しました。
静岡でも、溶融施設建設に六十三億円かかり、公表されている灰溶融施設のランニングコストだけで、年間二億五千万円かかります。そのうえ、事故時の修理代(メーカー負担の期限後)や、事故期間内の対応のためのごみ処理経費などを考えたら、負担は大変なものになります。
結局、ごみ問題の解決のためには、いかに自治体のごみ量を減らしていくか、そのために住民と自治体がごみの実態をリアルにつかみ、どこをどうしたら量を減らせるかの道筋を明らかにし、協力して取り組んでいくことが欠かせません。どちらの努力が欠けても、なかなか解決の展望は見えてこないでしょう。
そして、もう一つ大事なことは、ごみをつくるメーカーや、ごみとなる容器を利用している企業などの最終処理までの費用負担をきちんと求めていく、社会的な責任を果たすよう追及していく取り組みがますます重要になってきているといえます。(おわり)
(いわさ・えみ 日本共産党市民・住民運動局長)