日本共産党

2004年9月6日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

女性週刊誌にみる――

“やせ願望” どうして?

美容特集・広告のウラには……


グラフ


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 新しいダイエット法が次つぎに現れます。やせるための情報はあふれにあふれ、体重の増減に神経質になっている女性は、少なくありません。なぜメディアは盛んにダイエットをすすめるのでしょうか。若い女性が読む週刊女性誌の先駆けともいえる『an・an(アンアン)』をみてみました。田中佐知子記者

 『an・an』は、一九七〇年に創刊された週刊の女性誌。十―三十代の女性をひきつける「ライフスタイルマガジン」です。五十四万部の発行は、週刊の女性誌としてはトップ。

 『an・an』の今年のダイエット企画は、「04バージョン緊急ダイエット」「プチ太りを最速で解消する最高の方法! 短期決戦ダイエット」「完璧(かんぺき)ボディ最強計画」と、既に三回取り上げています。

 企画は、管理栄養士とスポーツトレーナーによる「体脂肪を燃やす完全プログラム」に始まり、挫折しないための「心理チェックポイント」「100kcal未満のスペシャルレシピ」「女の子らしさを失わないキュートボディのキープ法」「オトコ目線のダイエット論」…と、その内容は多角的で豊富です。

 しかし、創刊当初、身長一五五センチ、体重五五キロの「チビデブ」が女性の理想体型、ダイエットなどやめよう、と主張していたことはあまり知られていません。いつから、変わったのか気になるところです。『an・an』編集部に聞いたところ、「誌面の内容でご判断ください」とのことでした。

 創刊当時の誌面を調べてみると、痩身(そうしん)美容業界の広告がほとんど掲載されていないことがわかりました。しかしその後、痩身美容広告は着実に増え、九五年以降は広告量のうち四―六割台を維持(グラフ上)。『an・an』の理想身体は、この痩身美容の広告量に相関しながら、「チビデブ」から「痩身」へと転身しています。

 『an・an』一ページあたりの広告掲載料金は二百二十万円(メディア・リサーチ・センターの雑誌新聞総かたろぐ)。広告掲載比率(グラフ下)の高さを考えると、広告主が編集方針に与える影響力は絶大です。

 ダイエットの特集や広告には「痩(や)せるって感動!」「痩せるって人生変わる!」と成功者の体験談がつきものです。やせた暁には、今と違う素晴らしい人生が待っています。努力すれば、あるいはお金さえ積めば、あなたも手に入れられます。さあご一緒に! と女性の人生を応援するかのような宣伝もされます。が、その実、女性が簡単に自分の身体に満足しないよう、理想体型を到達困難なものにつり上げている面があります。

 『an・an』も「もっと細く、もっときれいに(八九年)」「すらりと伸びた脚、引き締まったお腹(なか)とウエスト、そしてキュッと上がったヒップ(二〇〇〇年)」「痩せれば魅力的になれるわけではありません! 手に入れたいのはメリハリのきいた健康的でセクシーなボディライン(〇四年)」と、限りがありません。さらに、「水着になっても大丈夫?」と読者に問いかけます。

 読者にきいてみると「余計なお世話だと思わなくもないけど、雑誌を読んでいるとやせたい気持ちに拍車がかかる」(二十歳・専門学校生)、「できそうなダイエットをやってみたい気持ちになる」(二十七歳・トリマー)といいます。

 皆さんは、『an・an』の転身をどう思いましたか? 「もしかして踊らされている?」とは思っても、「やっぱりやせたい」と感じる女性も多いかもしれません。おいそれとやせたい気持ちが止まらないところに、女性のおかれている環境の厳しさが表れているようにも思います。

 これから一緒に、やせたい気持ちの深層や、自分の体との向き合い方を考えてみませんか? 感想、意見、悩みをお待ちしています。

もうかる美容業界

 国税庁が毎年公表する高額納税者(上位100人)。2003年の1位は、ダイエット食品「スリムドカン」を販売する健康食品販売業の斎藤一人氏。2位は化粧品のDHC社長、4位に体を引き締める「補正下着」の販売会社社長、9位には美容整形外科「神奈川クリニック」の院長。「痩身と美」の分野から、4人がベスト10入り。斎藤氏の初のランクインは93年で4位。『an・an』の痩身・美容の広告量が3割台に伸びてきた時期です。斎藤氏は以来、11年連続でベスト10入り。

小学生まで「やせたい」

 東京成徳大学の深谷和子教授(児童臨床心理学)らが2001年、小学4―6年生1000人を対象に行ったアンケートによると、女子の5割が「自分は太っている」と感じ、また7割が「今よりやせたい」と考えています。4割がダイエット経験あり。また、ダイエットなどがきっかけとなり、「摂食障害」も近年増加が目立ち、東京都・私立女子中学校の卒業生を高校3年生まで追跡調査した慶応大学の調査では、約20人に1人いるという結果もあります。


お悩みHunter

まずは、たわいもない話から

寮は下級生と相部屋話題もなく気まずい

 Q 私立大学の学生寮から通っていますが、寮は六畳一間に二段ベッドで、一年生と相部屋。そのためプライバシーがなく、同室の下級生との共通の話題もなくきまずくなっています。同室で暮らすのがストレスになっていますが、どうしたら、下級生と楽しくやっていけるか悩んでいます。

 (一哉 22歳。町田市)

 A 私は学生時代にボート部に所属していて、三年間合宿所で共同生活をしていました。合宿所は大きな居間、大きな食堂、大きな寝室、そして小さな勉強部屋があるだけで、自分だけの居場所はありませんでした。

 始めのうちは、なかなか慣れなくて消灯時間のころに帰ってきていました。共同生活ですから、当然仲間たちに対する気遣いや心配りは必要です。今思うと最初のころはそういうことをわずらわしいと感じ、避けていたのかもしれません。

 しかし、いつしか合宿所がとても居心地のいいところになりました。それは「えっ、こんなこと話しちゃってもいいの?」というようなことを、話せるようになったからです。「こいつらには、何を言っても受け入れてくれるんだ」という安心感が得られたのです。

 人はそれぞれ独自のライフスタイルや価値観を持っています。ですから趣味の違いや関心事の違いはあって当然でしょう。無理に共通の話題を考える必要はないと思います。たわいもない話でいいんです。だんだんと打ち解けてきますから。

 大切なことは本音を話し、自分をさらけだすことだと思います。たしかにカチンとくることはありますが、なんだかんだ言って本音を話す人は、信用できるし、安心できます。まずは、女性の話題でもしてみたらどうでしょうか。きっと食いついてきますよ。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。



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