日本共産党

2004年9月4日(土)「しんぶん赤旗」

米共和党大会閉幕

ブッシュ大統領受諾演説


 【ニューヨーク=遠藤誠二】ニューヨークで開かれていた米共和党の大会は最終日の二日、ブッシュ大統領が候補受諾演説を行いました。大統領は、三年前の同時多発テロ以来の「対テロ戦争」で、「世界と米国はより安全になった」とし、今後もテロの脅威と対抗し、米国の国益を守るためには、単独でも先制攻撃の行動をとる立場を改めて明言しました。

 ブッシュ大統領は、うその情報に基づいて始めたイラク戦争の破たんが明らかになり、世界的にまた米国内でも批判が高まる中で、あくまでイラク戦争を正当化。再選されれば、他国領土内での軍事行動を辞さないと強調しました。

 一時間に及ぶ演説でブッシュ大統領は、同時多発テロ以降、アフガニスタン、イラクで「五千万人以上が解放された」と米国の侵略行為を正当化。米国の「戦略は成功した」と述べました。

 そのうえで、「攻撃態勢を維持して海外でテロリストをたたく」とし、「われわれは手遅れになる前に脅威に立ち向かわなければならない」として、米国防衛を理由に先制攻撃の政策を堅持する立場を誇示しました。

 同大統領はまた、「われわれは安全な世界を築く」「米国は新しい世紀において自由をもたらす主導者となる」と語り、単独行動主義に固執する姿勢を鮮明にしました。

 ニューヨーク市内ではこの日も数千人の市民が抗議集会。ブッシュ演説は、この中で多数の警官のバリケードに守られながらの異様な出馬宣言、一極覇権主義路線継続の宣言となりました。


反戦平和求め続く抗議

大会会場外は「反ブッシュ」

写真

2日夜、マジソンスクエアガーデン近くで反ブッシュ集会に参加した市民(遠藤誠二撮影)

 【ニューヨーク=遠藤誠二】共和党大会でブッシュ米大統領が二期目の候補受諾演説を行った二日夜、ニューヨーク市内では反戦平和を求める多くの市民が、「ブッシュ再選反対」「共和党は出て行け」と声をあげました。

 マンハッタン中心部に位置するマディソンスクエアガーデンの外には、数千人が結集。テレビを通じ全国・全世界に流される「ブッシュ再選」の熱気は大会会場内のみで、一歩外にでるとそこは「反ブッシュ」の人の熱気が支配していました。

 集会参加者は、自作のプラカードで、「ブッシュは歴代最悪の大統領」「ベトナムでうそをつきイラクでうそをついた」「先制攻撃は最悪のテロリズム」「テロの枢軸 ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド」などとアピール。

 二日の抗議集会に参加したニューヨーク市のボブさん(62)は「ブッシュが、同時テロの起きたニューヨークで大会を開くのは、自らの政治的動機に基づくものだ。グラウンド・ゼロ(被災地)を利用している」と批判。別の男性は「ブッシュの地元のテキサス州で大会をやれ」と声を強めました。

 ニューヨーク市でブッシュ大統領は、前回選挙で対立候補ゴア氏の五分の一しか票を獲得できませんでした。最近の市民を対象にした世論調査(ニューヨーク・マガジン誌)でも、「イラク戦争で米国はより安全になった」というブッシュ陣営の考えにわずか23%しか賛成しないなど、全米最大の都市は共和党やブッシュ大統領の人気が極めて低い地域です。USAトゥデー紙は同地での大会開催を「狂気じみたアイデア」と報じました。

 大量動員された警察が、大会会場周辺のみならず、マンハッタン地区や市内全域で厳戒態勢を敷きました。その異様さは、同時多発テロ直後にそっくり。連日の抗議集会デモで一日までに千人以上が逮捕されましたが、「デモは平和的に行われている」というのが地元メディアの評価。デモにたいする市民の目は温かく、レストランや高層アパートの窓から市民が手を振り、露天商が即席のプラカードで「ノーモア・ブッシュ」と書くなどの光景が見られました。


解説

“ウソの戦争”を自画自賛

 ブッシュ米大統領は、同時テロ後の力の政策を自賛、今後ともその政策をつづけることを断言する一方で、イラク侵略戦争の口実にされた大量破壊兵器情報などがうそだったことには触れずに、フセイン政権が以前に化学兵器を使ったことをあげて戦争を正当化しました。

 また、一万人以上とされるイラク民間人の犠牲、千人以上になる米軍・連合軍兵士の死についても語らず、アフガニスタンやイラクでの戦争の「成功」を誇示。他方で、「この世紀は自由の世紀。(米国は)国外で自由を広げる」と主張したのでした。

 大会初日に採択された党の政策綱領は、「われわれに対する敵対行為を防ぐため、米国は必要ならば、先制的に行動しなければいけない」「米国の主権において、米軍は国連の指揮下には絶対入らない」と強調しています。

 単独行動主義、先制攻撃の立場を変えないことを断言したものです。

 前日に候補受諾演説をおこなったチェイニー副大統領、そして大会に登場した主要演説者と同様にブッシュ大統領も、ケリー民主党候補を攻撃するネガティブ攻撃を繰り広げました。

 ブッシュ大統領は、八百七十億ドルというばく大なイラク戦費を議会が承認するにあたって、ケリー候補の態度が変わったことをとらえて批判しました。

 しかし、「ケリーは態度をころころ変える」(大会代議員)人物だが自分は揺らがない指導者だとのべて気勢をあげるこうした演説はむしろ政治的レベルの低さを示すとの声もあります。

 その一方で、同大統領が、「米国の行動で世界はより安全になった」「われわれは安全な世界を築く」と繰り返すのは、結局のところ、世界を米国の下に置き、先制攻撃などの軍事手段へまい進すること以外考えていないことを示しているようです。

 (ニューヨーク=遠藤誠二)



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