日本共産党

2004年8月3日(火)「しんぶん赤旗」

「君が代」“見せしめ”研修

都教委

趣旨説明もなし
質問拒否に抗議の声


 「何のためにやったのか。見せしめだ」「脅しとしかとれない」。二日、「君が代」不起立で処分された教員に対し、東京都教育委員会が強行した「再発防止研修」。良心に従い「間違ったことはしてない」と「研修」にのぞんだ教師たちは、「日の丸・君が代」問題を避けた都教委の「研修」内容に、怒りを強くしていました。


写真
支援者の抗議と激励のなかで「再発防止研修」会場に入る教職員(後ろ姿)。こちら向きは都教育委側=2日、東京都総合技術教育センター

 教員たちは午前九時三十分ごろ、都教委の腕章をつけた職員と警備員が居並んだ入り口から、支援者の「がんばれ」の声を背に、淡々とした表情で会場に入りました。

 「被処分者の会」代表の星野直之さんによると、研修室の外には六人ほどの職員が立ち、ものものしい雰囲気。冒頭、教員たちが「研修の趣旨を説明せよ」「質問させないのはおかしいのでは」と抗議の声をあげました。

 講義は、地方公務員の服務規定についての関係法令を講師が一般的に話し、「無断欠勤や飲酒運転、セクシュアルハラスメントなどの事故事例があげられたが、なぜわれわれが呼ばれたのか。『日の丸』のヒの字も、憲法のケの字もなかった」といいます。

 講義は予定より約三十分早く終わり、「所感」という題の報告文に、「書く中身がない」との声ももれました。

 終了間際に、多数の教員が「質問させてほしい」と求めましたが、認められませんでした。「(都教委側が)退職金が支給されなくなるなど処分を強調していた」と語る教員もいました。

 五十代の男性教員は、「わざわざ呼び出して何のためにこんな研修をやったのか。見せしめだと感じる。しかし、こうして強制されるだけで苦痛は残るし、報告書がどう処理されるかも不安だ」と話しました。

 杉並区の女性教員は「校長と一緒に、こんなことをさせられるのは脅しとしかとれない。私は自分がやったことは正しいと思う。研修は、なぜ処分されたのかの説明になっていない。精神的・肉体的にも苦痛以外の何物でもない」と怒っていました。

 「被処分者の会」弁護団の澤藤統一郎弁護士は、「(研修についての)東京地裁決定が相当効いて、都教委も内心まで踏み込めなかったのではないか」と感想をのべ、「再度、理不尽な研修が行われるのであれば、内心の自由に踏み込むとしか考えられず、法的手続きをとりたい」とのべました。

 八王子市から支援にきた高校生の母親の舛田妙子さん(50)は「思想、魂を入れ替えろという都教委のやり方は常軌を逸していると思います。このことを、同じく内心の自由を侵害される子どもたちにどうきちんと伝えるか。それが大事だと思います」と話していました。


都教委「研修」の経過

6月末 入学式や卒業式などの「君が代」斉唱の際、不起立だったなどの理由で、懲戒処分を受けた教職員220人余に「再発防止研修」を8月2日から実施すると通知

7月2日 都教委の「研修」を受ける教員ら134人が、都人事委に「研修」命令の中止、撤回勧告を申し入れ

7月8日 東京都の横山洋吉教育長が「指導に従わない場合や成果が不十分な場合には、再度研修を命じる」などと発言

7月16日 教職員137人が、「研修」の停止を求めて東京地裁に提訴

7月23日 東京地裁は「研修」停止の申し立てを却下。しかし、指導に従わない教師の再「研修」には、「思想・信条に反すると表明する者を繰り返し研修させ、非を認めさせるなら、違憲・違法の問題を生じる可能性がある」とのべる



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