日本共産党

2004年7月30日(金)「しんぶん赤旗」

スポーツサイト 代田幸弘

渡辺オーナー発言

署名活動は“大衆迎合”か


 熱いペナントレースの最中に、プロ野球選手が慣れない署名活動に汗を流しています。29日には東京ドーム前で、巨人の選手がとりくみました。近鉄、中日、横浜、ヤクルト、阪神につづいて、これで6球団目。残りの選手会も、近日中に実施する予定です。

@   @

 巨人の渡辺恒雄オーナー=読売新聞グループ本社会長=は、いまの1リーグに向けた球界再編劇の中心人物。それだけに巨人選手会(高橋由伸会長)が、急速な球団合併や1リーグ制への動きに反対する署名行動に立ち上がった意義は大きい。

 その渡辺オーナーが、巨人選手の署名活動について27日、こんな発言をしています。「高橋君はまだ若いし、物事を知らないから無理もないよ。おれが話をする時間があれば、ばかなことをせんだろうが、話をする時間がないんだ。そういう大衆迎合的なまねは、やめた方がいい」「おれも学生時代は共産党だったが彼の(年齢の)ときには共産党は卒業していた」

 選手会労組が初めて署名行動を起こした背景には、球団オーナーや経営者側が選手やファンを置き去りにして性急に球団合併を進め、その結果、50年余りつづいてきた2リーグ制が崩壊してしまうことへの危機感があります。また、選手自身が行動することによって、幅広い世論に自分たちの主張を訴えるとともに、ファンの気持ちを肌で感じたいという思いもあるでしょう。

 こうした選手の行動を「ばかなこと」となじり、「大衆迎合」と批判する渡辺オーナーの態度は、ファンの声に耳を貸そうとしないごう慢さの表れです。

@   @

 実際、この間の調査をみても、選手会の主張とファンの声はかみあっています。日本経済新聞が今月中旬に行ったアンケートでは、1リーグ制についての設問に、「2リーグ制を堅持すべき」が6割をこえ、「移行すべき」は2割に満たない結果でした。朝日新聞でも「2リーグ維持」が70%と、「1リーグがよい」の13%を大きく上回っています。近鉄とオリックスの球団合併についても「時間をかけて検討すべき」と「合併反対」を合わせると、8割をこすファンが「急ぐべきではない」との意見です。

 渡辺オーナーは話し合いを求める選手会に対しても、「分をわきまえなきゃいかんよ、無礼な。たかが選手が」と暴言をはいています。

 まるで、オレたちのやることに選手やファンなどが口をだすな、といわんばかりです。こうした人物が球界を牛耳っているところに、いまのプロ野球の不幸があります。

 さらに、ひと言。公に「共産党だった」と名乗るならば、立場のちがいはあっても、選手の行動にもっと理解を示すぐらいの度量があってもいいのではないでしょうか。戦後の一時期に入党した渡辺氏は、青春を燃やした日々が懐かしいのか、いまでも日本共産党に入っていたことをよく口にしています。

@   @

 ただし、渡辺氏のいう「共産党は卒業」するようなものでは決してありません。よりよい社会をめざす日本共産党員の活動は、連綿としてつづいています。その情熱があるかぎり、“生涯現役”なのです。

 (本紙スポーツ部記者)


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp