日本共産党

2004年7月25日(日)「しんぶん赤旗」

年金改悪

法案担当者が相次ぎ辞職

“二枚看板”、条文ミスで責任

居直る坂口厚労相


 年金改悪法を担当した厚生労働省の中心幹部が二十三日付の同省人事で、相次いで辞職する事態となっています。

 吉武民樹年金局長の辞職は、過去最悪の四十カ所にも及ぶ条文ミスの問題で責任をとった格好です。

 吉武氏は十六日、秋山收内閣法制局長官らとともに、訓告と一部給与の返納という処分を受けていました。しかし「処分が軽い」などの指摘もあり、人事発令前の二十日に辞職が発表されました。坂口力厚労相は「局長に大きな法案を片づけてもらったことには感謝しているが、諸般の事情もあり、退いてもらうことになる」(二十日の記者会見)と表明。給与一カ月分の自主返納という甘い対応で批判をかわそうという坂口厚労相の身代わりとして詰め腹をきらされた形です。

 二人目の辞職は年金局数理課の坂本純一課長。改悪法の内容そのものにかかわっていました。

 こんどの年金改悪は、保険料は今後十四年連続で引き上げ、受け取る年金の水準は最大で約30%も下げるというものでした。これを“保険料は上限で固定、年金給付の下限は50%保障(モデル世帯)、だから百年安心”と説明していました。しかし、日本共産党の小池晃参院議員の質問で偽りだったことが判明。法案説明の厚労省のパンフレットを成立後になって訂正する事態に追いこまれました。この偽りの説明を裏付ける給付と負担の試算(将来推計)をしたのが数理課です。課長の辞職は、“二枚看板”のウソの責任を取らされたことになります。

 この給付と負担の推計の前提となる出生率の最新データ(二〇〇三年)が法案審議中にわかっていたのに、国会閉会後に公表されたことも大きな問題になりました。これを担当した統計情報部の坂田稔部長が三人目の辞職者です。

 改悪法成立後も白紙撤回、やり直しを求める大きな世論のなかで、法案の作成や国会審議にかかわった厚生労働省の担当者が軒並み辞職し、省外に去ることになりました。

 これにたいし改悪法提出の担当大臣として一番責任を持っているはずの坂口厚労相は、参院選挙での年金問題を中心にした与党への厳しい審判についても「年金に批判があるんだったら(選挙で)私のところ(公明党)が一番減って共産党さんが一番のびなくてはいけないけど、逆だった」(十三日、記者会見)と無反省で居直っています。

 前代未聞の条文ミスでようやく「心からおわび申し上げたい」(二十三日)とのべたものの、大臣のイスに居座ったまま責任を逃れる姿勢です。


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