日本共産党

2004年7月18日(日)「しんぶん赤旗」

包括根保証、廃止へ

保証人の過酷返済を軽く

法制審議会部会

井上議員の質問実る


 中小企業が倒産した場合、個人の保証人に無期限・無制限の返済責任を負わせる「包括根保証」を廃止する動きがすすんでいます。法相の諮問機関である法制審議会の保証制度部会がまとめた、「包括根保証」の禁止条項を盛り込んだ見直し要綱中間試案にたいする意見募集が六月末で終了。法制審議会の答申をへて秋にも国会に法案が提出される見通しです。商工ローンなどによる被害者救済の運動や、日本共産党の提案が実現することになります。

 一度の契約で将来発生する債務にまで保証責任を負わせる根保証は、融資を増額したり期間を延長するときに契約を結び直す必要がないため金融機関には便利な契約です。しかし、企業が倒産した場合、保証人に予想もしない過重な返済が求められ、破産や自殺などに追いこまれる悲惨な事例も多く、社会問題となっています。

 中間試案では、(1)根保証はすべて限度額を設ける(2)保証期間を制限し、保証人は一定期間だけ責任を持つ――と定め、無期限・無制限の「包括根保証」を禁止。合意により保証期間を定める場合は五年以内を上限とし、合意がない場合は三年としています。

 包括根保証は、過酷な取り立てが社会問題化した商工ローンでも用いられていたため、被害者弁護団が禁止を要求。こうした声にこたえて日本共産党は一九九九年、包括根保証を禁止し、返済上限などを定めた根保証についても大幅に制限する「貸金業規制法改正案」を提案しました。

 法務省は当時、法的規制に消極的でしたが、過酷な返済を迫られる保証人が多発する状況を無視できず、規制に乗り出すことになったものです。

 通常国会で参院法務委員会でこの問題をとりあげた日本共産党の井上哲士参院議員の質問(六月一日)に、法務省の房村精一民事局長は「倒産が多発する現状をふまえ保証契約の内容を適正化するためのより直接的な措置を講ずる必要がある」と表明。「秋には意見をとりまとめ、できるだけ早く法案として国会に提出したい」とのべました。

 また井上氏が、限度額を定めても保証人の能力を超える限度額を設定することもあり得るため、そういう契約は無効とすべきではないかとただしたのにたいし房村氏は、現状でも保証人の能力を超えるなど過酷な結果が生ずる場合には判例などで救済されており、改正しても同じように救済されるとのべました。

 根保証 特定の一時的な融資にたいする保証契約と違い、保証契約を結んだ後に継続的に行われる融資のすべてを保証する制度。このうち、保証限度額や保証期間を定めないのが包括根保証。金融機関が融資を確実に回収するため経営者本人や親族、知人に契約を求める例が多い。




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