日本共産党

2004年7月16日(金)「しんぶん赤旗」

イレッサ被害

国、製薬会社を初提訴

遺族4人  「副作用対策怠った」


 多くの副作用被害を出した肺がん治療薬「イレッサ」(一般名・ゲフィチニブ)をめぐり、死亡した京都府の男性=当時(69)=の妻と子ら遺族四人(関西地方在住)が、国と輸入販売元の製薬会社「アストラゼネカ」(大阪市)を相手取り、総額三千三百万円の損害賠償を求める訴訟を十五日、大阪地裁に起こしました。イレッサの副作用被害をめぐり、国やア社を相手取った訴訟は初めて。

 訴えによると、肺がんと診断されたこの男性は二○○二年四月から七月にかけ、入院して放射線治療などを受け、がんが小さくなるなど効果が出ていました。しかし、同九月に医師の勧めでイレッサを服用したところ、呼吸困難を起こして一週間後に入院。間質性肺炎のため、同十月に死亡しました。カルテには、間質性肺炎の原因はイレッサが最も疑わしいと記載されていました。

 原告側は、ア社は海外の多くの副作用報告を把握しており、重い副作用の多発を予見できたと指摘。しかし、販売開始時の添付文書には、副作用を抑止するための十分な警告や表示がないに等しく、漫然と販売して重大な被害を発生させたと主張しています。

 イレッサは英国で開発され、厚生労働省は○二年七月、申請から約半年の異例の早さで世界に先駆け輸入を承認しました。間質性肺炎など急性肺障害の副作用報告が相次ぎ、厚労省によると、今年三月までに四百四十四人(一部重複)が死亡しています。

 被害者遺族らでつくる「イレッサ薬害被害者の会」が先月、謝罪や賠償を申し入れましたが、ア社が「薬害とは考えていない。法的責任はない」と回答したため、提訴に踏み切りました。

 同会は東京地裁への提訴の準備も進めています。


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