日本共産党

2004年7月15日(木)「しんぶん赤旗」

年金ファミリー企業 カワグチ技研

312社保事務所の契約独占

金銭登録機導入で疑惑


 年金積立金や年金保険料の流用が大きな問題になっていますが、元厚生省職員の関係している年金ファミリー企業三社が社会保険庁から随意契約で巨額の受注をしていた疑惑がいま注目されています。小泉首相や坂口厚生労働相は社会保険庁長官の民間人登用など、小手先の改革で国民の目をそらそうとしていますが、年金保険料の流用の実態にメスを入れ、流用の仕組みそのものを禁止すべきです。


国が保険料流用

 問題の企業は、一九九八年十月に設立されたカワグチ技研(川崎義幸社長)。

わずか20日間

図

 社員わずか七人のこの会社は、社会保険庁が二〇〇三年三月十一日に事務連絡で各社会保険事務所に金銭登録機の導入を指示したところ、わずか二十日間という期限内に北海道・稚内から沖縄・石垣島までの全国三百十二のすべての社会保険事務所と個別に随意契約を結びました。

 こんなことは、社会保険庁が同社の品物を購入するよう指示しない限りありえません。ところが、日本共産党の小池晃参院議員にたいし、社会保険庁は一切指示していないと説明しています。

 このハンディータイプ金銭登録機は全部で二千五百七十四台購入され、単価十七万三千四百六十円で合計四億四千六百万円が、国民の年金保険料から支出されました。

 さらに、カワグチ技研は設立の翌年にはパピアートという小型印刷機のリース契約を社会保険庁と結び、三千六百台納入。これも随意契約で五年間で二十二億七千万円の支払いですが、印刷に時間がかかり、ほとんど使われていないといいます。年金保険料を流用したムダ遣いです。

厚生省天下り

 このほか、九八年まで川崎義幸氏が社長を務め、いまは妻の千尋氏が社長のニチネン企画は社会保険庁から、出版物の購入やパンフの印刷で十億八千万円を受注しています。義幸氏が取締役のフォーム印刷社も帳簿などの印刷で一億数千万円を受注。三社で合計三十九億円余を受注していることになります。

 小池議員は五月二十日の参院厚生労働委員会で、社会保険庁とこれらの年金ファミリー企業は異常な関係にあり、厚生労働省関係者が天下りしていないかと追及、坂口厚生労働相は「厚生労働省から行っているものはおりません」と答弁しました。しかし、その後の厚生労働省の調べで、千尋氏が八六年七月まで厚生省(当時)および社会保険庁に勤務していたことが判明しています。


 年金資金の流用 一九九七年十一月、自民、社民、さきがけ各党の賛成で、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」が成立。この中に、国庫財源で出すべき年金事務費を年金保険料の積立金から「流用」できる特別措置が盛り込まれました。これを口実に、社会保険庁長官の交際費から海外出張費にまで拡大解釈して「流用」。この特別措置は今年三月で期限切れでしたが、小泉内閣が自民、公明両党の賛成で一年間延長する法律を成立させたため、今年度も保険料の「流用」が続いています。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp