日本共産党

2004年7月14日(水)「しんぶん赤旗」

自公政権―国民の審判に無反省

年金、イラク 居直るが… 


 小泉純一郎首相は、自民党敗北という参院選結果をうけながらも、「構造改革路線に関する基本的な考え方は変わらない」(十三日の閣僚懇談会)と従来方針の堅持を強調しています。小泉自公政権は国民の審判をどのように受けとめ、どうかじを取ろうとしているのか――。

深刻な危機

 「実績のない期待のときと三年間の実績を積んでいるときでは違う」。自民党が目標とした改選五十一議席を下回って四十九議席になることが確実となった十一日夜、小泉首相は「小泉ブームの陰り」を問われてこう答えました。参院選では、三年半余にわたる「小泉政治」に審判が及んだことを認めざるをえませんでした。

 「小泉旋風」で六十四議席を獲得した三年前の比例代表の得票は二千百十一万四千票(得票率38・6%)でしたが、今回は四百三十一万票(8・5ポイント)減の千六百七十九万七千票(30・0%)。選挙区も二千二百二十九万九千票(41・0%)から二百六十一万票(5・9ポイント)減の千九百六十八万七千票(35・1%)となりました。これは、政権の末期症状を見せていた二〇〇〇年の森内閣のもとでの総選挙選挙区得票率40・97%をも下回るものです。二十七の一人区では、前回の二十五選挙区から十四選挙区しか議席を得られていません。しかも最終盤、公明党・創価学会の支持で底上げしての結果です。

批判受止めず

 しかし、その国民世論を真剣に受け止められないところに、小泉政権の深刻さがあります。

 争点となった年金改革とイラク多国籍軍への自衛隊参加問題。小泉首相は「世論調査の結果をみると、70%が政府案に反発している。イラク問題についても60%ぐらいの人が反対している」(十二日の記者会見)と認めながらも、「そういう逆風の中で与党で安定多数の議席を与えてくれたなと感謝している」と居直りました。

 国民に対する説明不足についても「選挙中は時間が制限されている」(同)と言い訳に終始しました。

 小泉自公政権を信任しない有権者が重視したのは年金(54%)、イラク問題(20%)で、これが上位を占めました(「東京」十二日付)。「朝日」の出口調査でも「最も重視した」のは年金問題で45%とトップでした(十二日付)。この世論に選挙後の国会がどう答えるのかが問われています。

 しかし与党側は年金改悪法について「通常国会で議論している。しかし(選挙結果を受けて)議論するなら、秋の臨時国会でやるべきだ」(安倍晋三自民党幹事長、十二日NHK討論)と、選挙でのほとぼりが冷めるのを待つ方針。選挙中、日本共産党など野党が公約に掲げた年金改悪法の廃止法案についても「衆参でわれわれは(過半数を)維持しているので否決していく」(安倍幹事長、十二日の記者会見)、「成立した法律を白紙撤回することはない」(公明党・神崎武法代表、十一日)としています。

主導権を狙い

 求心力を失い、苦しい立場におかれたなかで小泉首相は「九月の党役員改選の時までに郵政民営化案を具体的にまとめなければならない」(十二日の記者会見)と述べ、内閣改造・党役員人事に先立って郵政民営化の具体案を決定する考えを示しました。民営化をテコに、改造人事や今後の政権運営で主導権を確保しようとする狙いですが、自民党内からは「人事で挙党態勢をつくれなければ政局だ」(橋本派幹部)とけん制する声も上がっています。高柳幸雄記者


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