日本共産党

2004年7月3日(土)「しんぶん赤旗」

ここが知りたい 参院選特集

農業・食料

21世紀の食料危機 安全・安心の道は…


 食料自給率がカロリー換算で40%と主要国では例がないほど落ち込んでいる日本。圧倒的多数の国民が将来の食料供給に不安をもち、自給率向上を望んでいます。今回の参院選で、どの党が示す農業・食料政策が安心・安全の道か―その選択が問われます。


9割以上が将来不安自給率向上望む85%

 農水省の調査では九割の消費者が食料供給に不安をもち、食料自給率の大幅向上を望んでいます(グラフ)。

 それなのに日本の農業生産の基盤が大きく崩れています。毎年二、三万人も離農していく状況です。農地は減りつづけ、耕作放棄地は年々増え二〇〇〇年で三十四万ヘクタール(非農家分含む)。漁業環境を破壊して造る諫早湾干拓地の四百二十倍になります。

 小泉自公内閣は、「農業鎖国は続けられない」などといって、外国依存をいっそうすすめます。百七十万にのぼる稲作農家の大部分を支援から除外する「米改革」を強行しています。

グラフ
写真
都市と農村の交流がある千葉県鴨川市の大山千枚田。環境・領土保全、水源かん養など多面的機能があります。米価下落のなか、頼みは都市住民の応援です

グラフ



日本共産党

基幹的な生産部門 農業再建はかります

 日本共産党は党の基本方針である綱領に農業を基幹的な生産部門として位置付ける、と明記している政党です。

価格保障を農業予算の主役に

グラフ

 食料自給率は早期に50%台に回復させることをめざします。

 生産費を償う価格保障を基本に、所得補償を組み合わせることで農業・農村を再生します。

 稲作では、生産費(六十キロ当たり一万八千円程度)と市場価格との差を拠出する「不足払い制度」を創設します。麦や大豆、食肉など主な農産物にも価格保障をします。

表

 農地がもつ環境、国土保全について、農家は無償の番人でした。荒廃を避けるため、条件不利地域の直接支払制度を拡充し、平場地域にも実施します(十アール当たり一万円程度)。

 不足払いなどの価格保障と、環境維持などの多面的機能への直接支払いの組み合わせは、EU(欧州連合)でもやっていることです。

 欧米諸国のように価格・所得保障を農業予算の中心にすえ、公共事業や公益法人補助金などムダをはぶき、農水省予算を改革すれば一兆円程度の予算は確保できます。

野放しの輸入に歯止め、食料主権確立へ

 食料や農業にかかわる政策を自主的に決める権利=「食料の主権」は国連人権委員会で採択されました。

 多国籍企業の利益のためのダンピング(不当安売り)輸出や野放しの輸入に歯止めをかけろ、とのアジアの民衆、世界の農民・市民の連帯は確実に広がっています。

 各国の自給率向上を認め、食料主権を確立するWTO協定改定こそ世界の流れです。日本共産党はこの流れと力を合わせます。



自民・公明・民主

輸入自由化前提で、価格保障なし

表

 各党とも参院選挙のなかで、食料自給率の向上を数字を上げて公約します。「45%を確実に」(自民党)、「十年程度で50%に」(公明党)、「十年後の自給率を50%に」(民主党)といった具合です。

 今日の食料をめぐる深刻な事態の反映ですが、問題はその実効性です。自民、公明の与党は、国内生産の増大にはほとんどふれていません。

 民主党、社民党も含めて、農業生産に意欲が出る最も大切な価格保障策がないのが特徴です。

 各党とも掲げるのは各種の「直接支払い」だけです。

 直接支払いは、WTO協定で「生産刺激的でないこと」を条件にした政策です。WTOやFTA(自由貿易協定)による自由化を促進し市場価格が暴落することを前提にしています。これでは、農家が生産を増やす保障になりません。生産縮小が前提になります。

 しかも小泉内閣は、日本に今ある唯一の直接支払制度に冷たい態度です。条件不利地の中山間地直接支払い制度の予算を今年度五十一億円削減しました。さらに財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、「廃止を含めて抜本的な見直しを」といいます。

 与党と民主党との違いは、直接支払いの対象者を「認定農家・法人」(自民)、「効率的な経営体」(公明)に限定するか、「意欲的に取り組む農家全て」(民主党)にするとの違いしかありません。

財界戦略にのる

 財界は、「農業問題が(貿易自由化の)障害」、「保護政策は、構造改革を遅らせる」(経済同友会の提言、三月八日)などと主張。WTOやFTAで農産物の関税撤廃とともに、価格保障の完全廃止を迫っています。“輸入自由化で耐えられない農家は切り捨ててもしょうがない”との態度です。

 農地支配を狙い、「株式会社の参入規制の撤廃・緩和」(経済同友会)を要求しますが、自民党は全面的に推進する立場です。民主党もできるかぎり参入規制を緩和するとしています。公明党は、株式会社の参入を認める特区を全国展開で緩和する立場です。財界戦略にのっています。


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