日本共産党

2004年7月2日(金)「しんぶん赤旗」

年金財源どうする


 年金問題の「財源」をめぐり、自民・公明連合と民主党は国民負担増を競い合うだけではありません。「(法人税を上げるのは)まったくのナンセンス」(公明・神崎武法代表)、「企業の社会保障負担を増やすと、雇用の劣化が起こる」(民主・岡田克也代表)と、大企業への負担に反対する点でも共通しています。「財界・大企業本位」という政治のゆがみを土台からただせるのはどの党か――参院選の鋭い対決点になっています。


公共事業

自公 ムダそのまま
民主 削りが不徹底

グラフ

 日本の社会保障の財政基盤を薄くしている大もとには、大企業・財界に有利にゆがんでいる経済、財政のしくみがあります。

 一つは、国と地方合わせて、公共事業に年間四十兆円、社会保障に二十五兆円という歳出の構造です(グラフ1)。

 自民・公明は「公共事業を減らしていく」(小泉純一郎首相)と口ではいいながら、大阪・関西空港二期工事、長崎・諫早湾干拓事業、熊本・川辺川ダムなど無駄な公共事業を改めようとしません。九千三百四十二キロにものぼる高速道路建設計画も抜本的に見直そうとせず、道路関係四公団の「民営化」で四十兆円もの借金を国民に押しつけようとしています。

 民主党は、公共事業を「二兆円から三兆円は削れる」(岡田代表)と言っていますが、地方議会では関空二期工事や東京都の大型幹線道路建設など、無駄な公共事業を推進しており、その立場は不徹底です。これでは、ほんとうに財政のゆがみをただすことはできません。

大企業負担

自公 軽減を進める
民主 消費税でゼロ

グラフ

 第二の問題は、ヨーロッパに比べて低い大企業の社会保障負担をどうするのかという点です。日本の企業の税・社会保険料負担が国民所得に占める比率は12・3%で、フランスの半分、ドイツ、イギリスの七―八割です。

 自民・公明は法人税率の連続引き下げを実施し、一九八八年に42%だった法人税率は30%に引き下げられ、法人税収は最高時の八九年と比べて半減しました(グラフ2)。

 民主党は、大企業の負担を増やすどころか、いっそうの負担軽減をめざして、大企業が一円も負担せずにすむ3%の「年金目的消費税」を提案、党幹部が日本経団連など財界団体に「理解」を求めています。

 経済アナリストの森永卓郎氏は「(「小泉改革」によって)法人税を減税し、賃下げや解雇をしやすい環境をつくり、金持ちがマネーゲームをやりやすい仕組みを作る一方で、庶民は大増税になった」(埼玉新聞、六月二十九日付)と批判。民主党についても「経済政策は、自民党とさほど大きな差がない」(同前)と指摘しています。


共産党

社会保障の財政基盤歳出・入両面から充実

 大企業に有利な歳出、歳入の構造にメスを入れ、国民への負担増なしに年金など社会保障の立て直しを提案しているのが日本共産党です。

 歳出では、無駄な公共事業の中止、見直しや、道路特定財源(注)の一般財源化で無駄な高速道路建設を改めるよう求めています。これによって、公共事業費の総額をバブル期以前の二十五兆円程度の水準にまで減らし、約九兆円の財源が生み出せます。

 また、二千四百億円もの米軍への「思いやり予算」などの軍事費を削り、特殊法人・独立行政法人向け予算の無駄も改めます。

 これらの改革によって、約十兆円の新たな財源を生み出し、社会保障、暮らしに回すことが可能となります。

 歳入では、法人税率を九八年、九九年の連続引き下げの前の37・5%に戻すことや、投資減税、研究減税など大企業減税の廃止、所得税・住民税の最高税率を引き下げ前の水準に戻すことを主張しています。

 これらの改革によって、八兆円の新たな財源を確保することができます。

 こうした提案ができるのは、日本共産党が大企業から一円の献金も受け取らず、財界・大企業と何の腐れ縁もないからです。

カット

道路特定財源 自動車利用者が支払う揮発油税や自動車重量税などのうち、全額または一定割合を道路整備にあてるため使途を特定したもので、国と地方分を合わせて約六兆円。自動的に道路財源が確保され、無駄な道路建設を促進する仕組みになっています。



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