日本共産党

2004年6月24日(木)「しんぶん赤旗」

参院選 6つの熱い焦点

改革の道を示すのは−

各党の態度にみる


 参院選に向け、平和の問題や国民生活が直面する課題で、どの党がほんとうの解決の道をさし示しているのか。日本共産党、自民・公明与党、民主党の公約と政治姿勢から、参院選で問われる六つの焦点への態度をみてみました。



イラク問題

 小泉純一郎首相は、イラクに派兵している自衛隊の多国籍軍参加にあたり、多国籍軍の「一員」になるが「指揮下には入らない」と強弁。しかし、その「担保」としているのは公使レベルの「口頭了解」にすぎません。「了解」した相手の名前も不明で、指揮下に入らない保証にはなりません。

 首相は「活動は人道復興支援に限定する」といいますが、国連決議では多国籍軍が「あらゆる手段をとる権限」を持つとしており武力行使を伴うことは明らかです。「武力行使を伴う多国籍軍への参加は憲法上許されない」としてきた政府見解からも説明できません。

 公明党は、イラク戦争支持の理屈づけとして「大量破壊兵器」の存在を声高に唱え、自衛隊派兵の決定に至るまで政府を後押ししました。そのことに無反省のまま、多国籍軍への参加にも「まったく問題はない」(神崎武法代表)として積極支持。同党が当面の課題での政治姿勢を示した「重要政治課題」では「国際協調と国益の観点から」自衛隊派兵を継続すべきだと主張しています。

 民主党は、自衛隊を一時イラクから撤退すべきだとしていますが、自衛隊の海外派兵自体には反対していません。四月末には菅直人代表(当時)がアナン国連事務総長に「新たな国連決議があれば多国籍軍への派遣も検討」と表明しており、与党から矛盾をつかれています。

 日本共産党は、自衛隊の多国籍軍参加に反対し、イラクからの自衛隊の即時撤退とイラク国民への主権返還を求めます。

年金制度改革

 国民の六―七割が反対している政府の改悪年金法について、小泉首相は「だれがやっても給付は減らざるを得ず、保険料は上げざるを得ない」と開き直っています。「年金百年安心プラン」と総選挙公約で押し出し大キャンペーンをしてきた公明党は、改悪法が不評のため「私どもがリードしてきたわけではない」(神崎代表)と言い訳に回っています。

 民主党は、改悪年金法の廃止を求めていますが、衆院段階では自公両党と「三党合意」を結んで法案を修正、通過させました。公約の年金一元化は、現行制度の枠組みのまま国民年金の保険料負担を大幅に上げるか、厚生年金の事業主負担をなくし給付を減らす、年金を貧しくする方向です。

 日本共産党は、自公与党の「右のポケット=保険料」、民主党の「左のポケット=消費税」のいずれも国民に負担増を押しつける計画だと批判。全額国庫負担による月額五万円の最低保障年金で年金制度全体の底上げをはかる真の改革を提案しています。年金や社会保障の財源には歳出のムダ遣いをなくし、予算の使い道を社会保障中心に改めることと、大企業や高額所得者に応分の負担を求めていくことなどで確保します。

消 費 税

 自公民各党は、年金や社会保障の財源として消費税増税が不可避だと宣伝しています。小泉首相は「消費税の議論は結構だ」と二〇〇七年度実施の消費税増税のレールづくりを明言。民主・岡田克也代表も「あえて年金消費税の提案をしている。それしかないから正直に訴えている」と、自公両党と同じ姿勢です。

 大企業・財界は消費税を価格へ転嫁できるため、消費税増税で社会保障の財源を賄うよう求めています。自民、民主両党は財界の意向を受けた昨年の総選挙公約に続き、年金や社会保障全体の財源として消費税増税への道を明記しています。公明党も重要政治課題で「消費税を含む税制の抜本改革」を〇七年度をめどに実現するとしています。

 日本共産党は、所得が少ない人ほど負担が重い消費税は、くらしを支える社会保障の財源として最もふさわしくないという立場から、ただ一党、「増税に反対」を公約にかかげています。

雇 用

 自公与党は「雇用の構造改革」と称して大企業のリストラや不安定雇用の拡大を進めてきました。派遣やパート、フリーターなどの不安定雇用が増え、減らされた正社員も長時間過密労働を強いられています。

 労働者の“首切り”法制を進めながら、自民党公約では今後二年間で「三百万人以上の雇用」を創出するとしています。公明党の公約からは総選挙で示していた「新たな雇用を五百万人創出」の文言が消えました。

 経済分野で「市場のことは市場に」ゆだね、「強い経済を再生」させて仕事と雇用を生み出すという民主党は、財界が求める原則規制撤廃の立場です。一方で、雇用政策ではワークシェアリングや不払い残業解消などを公約に明記しています。

 日本共産党は、雇用への企業の社会的責任を果たさせ、サービス残業や長時間労働を強いるやり方をやめさせることを提案。深刻な若年者雇用についても大企業に正社員として採用することを強く求めていきます。

憲 法

 自民、公明、民主が改憲姿勢を競い合っています。自民党は、結党五十年の二〇〇五年をめどに「国の基本を見直す」として、党のプロジェクトチームで全面的に書き換える草案策定を進めています。公明党は「新しい人権」や安全保障などで論点整理を進め、今秋の大会で見解をまとめます。

 一月の党大会で〇六年までの改憲案づくりを決めた民主党は「創憲」の立場で、憲法の基本三原則の「豊富化」―見直しを表明しています。

 改憲勢力の狙いは、自衛隊の海外での武力行使の歯止めとなってきた憲法九条にあります。日本共産党は、九条の値打ちを世界に広げ、平和外交に生かすべきだと主張。憲法の改悪を許さず、平和原則を守る一点での国民の共同を広げます。

北朝鮮問題

 日朝平壌宣言の確認に基づいて日朝間の諸懸案を解決し、国交正常化への前進をはかることは重要です。

 日本共産党は、北東アジアの平和と安定を築く立場から、北朝鮮問題にとりくむ三つの目標―(1)朝鮮半島に戦争や動乱を絶対に起こさせない(2)拉致問題を全面的に解決する(3)植民地支配など“過去の遺産”を清算する―ことを提起。拉致問題の解決や六カ国協議の枠組みで朝鮮半島の非核化を達成する外交努力を政府に求めています。

 自民党は「対話と圧力」による平壌宣言履行という立場。公明、民主両党は通常国会で成立させた対北朝鮮の経済制裁法の発動について「一定の圧力をかけることも辞さない構えを示すことも必要」(公明)、「法律の適用も視野に」(民主)と公約に明記しています。


2004年参院選 6つの焦点への各党の態度

 日本共産党自民党公明党民主党
イラク問題米国主導の軍事占領を終わらせ名実ともにイラク国民へ主権返還を。自衛隊の速やかな撤退を求める「イラクの人道復興支援」を口実に違憲の自衛隊派兵。“憲法上許されない”としてきた多国籍軍にも参加「イラクの『平和と安定』を構築する正念場」などとして自衛隊派兵と多国籍軍参加を合理化自衛隊の「撤退」を唱えるが、派兵自体には反対せず。「イラク国民の政府」の要請で多国籍軍参加も容認
年金制度改革月額5万円の「最低保障年金制度」をつくり、掛け金に応じた額を上乗せする。低額年金を底上げし低すぎる年金、制度の空洞化を打開保険料は上がり続け、給付は受給翌年から50%を下回り下がり続ける改悪年金法を「持続可能で信頼性のある制度」と偽る改悪年金法を「年金100年安心プラン」の「実現・大前進」と自賛。基礎年金の国庫負担引き上げも庶民増税(定率減税廃止など)で行う年金の一元化を提唱。全額税方式の「最低保障年金」を主張するが、給付は政府の改悪年金法と同様に下がり続け、負担は消費税増税中心
消費税社会保障財源を口実とした増税計画を許さない。税金の使い方、集め方を「国民のくらし第一」にかえて財源をつくる消費税増税に向け「税・保険料負担や給付のあり方」について2006年度をめどに結論を得る社会保障財源を口実に2007年度をめどに「消費税を含む税制の抜本改革を実現」最低保障年金の財源として3%の年金目的消費税を創設
雇 用雇用への企業の社会的責任を果たさせる。リストラを規制、サービス残業、長時間労働をなくし新規雇用を増やす不良債権処理や大企業のリストラ支援で失業を増大させながら「2年間で300万人以上の雇用創出」をうたう「新たな雇用を500万人創出」との総選挙公約は「進行中」。追加マニフェストや重要政治課題から消える「強い経済再生」で雇用拡大を主張するが規制緩和が柱。不払い残業解消を主張するが企業責任にふれず
憲 法改悪に反対し平和原則を守る一点で国民の共同を広げる。憲法の全条項をまもり、平和、人権、民主の理念を21世紀の「国づくり」に生かす2005年の改憲草案起草を再び公約。「自衛隊の位置づけと国際貢献における役割、集団的自衛権などについて明確に」すると踏み込む環境権やプライバシー権などを加える「加憲」。党内の論点整理では個別自衛権など安全保障にかかわる規定も検討「創憲」の立場で三つの根本規範を新しい時代にふさわしく「豊富化」。国連の軍事行動に積極的参加と党内の中間報告で位置付け
北朝鮮問題北東アジアに平和と安定の国際関係を築く。平壌宣言に基づき拉致、核問題など諸懸案を解決し国交正常化へ前進をはかる対話と圧力により平壌宣言の完全履行を求める北朝鮮の対応次第で経済制裁措置の発動など「一定の圧力をかけることも辞さない構えを示すことも必要」経済制裁法の成立を踏まえ「法律の適用も視野に」拉致事件、核・ミサイル問題の解決へ


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