日本共産党

2004年6月21日(月)「しんぶん赤旗」

合併問題に揺れる両チームが対戦

怒るファン 不安募る選手ら


 「球団合併断固反対!」。近鉄ファンで埋まったレフトスタンドに大きな横断幕が掲げられました。18日から20日にかけて、合併問題に揺れる近鉄―オリックスの3連戦が行われた神戸市のヤフーBBスタジアム。不安が募る選手や突然の決定に怒るファンの声を聞きました。栗原千鶴記者

 通用口には選手専用の通路が設けられ、普段より多い報道陣や警備員。合併発表後、初めてとなる両チームの対戦だけに、物々しい雰囲気に包まれました。

納得いかない

 選手たちは合併問題について多くを語ろうとしません。「今は何も言えない」「自分たちに何ができるのか」など、選手が弱い立場にあることを感じさせます。

 そんな中、苦しい胸のうちを率直に語る選手もいました。「チームは重い雰囲気がある。選手の間でも(合併の)話題が出る」「これからどうなるのか正直不安。みんな複雑な気持ちでいる」

 また、「受け皿が小さくなれば、自分もどうなるかわからない。個人的にはパ・リーグだけの問題ではないと思っている」と話す選手や、「野球以外に何ができるか考えてしまった」という選手も。

 ある近鉄の球団関係者は「命名権がだめで、合併ならいいのか。納得いかない」と語りました。

反対の署名も

 ファンも黙ってはいません。

 球場の前では、合併に反対する署名活動が行われていました。有志でつくる「バファローズ・ブルーウェーブのチーム存続を訴える会」は、球団の減少はスポーツ文化の活性化を阻むもので合併の再考を求めています。

 署名を呼びかけていた丸山信明さん(25)は「近鉄は何かやってくれるチーム。こんなドキドキ感のあるチームはない。最後まであきらめません」と話します。署名は7月7日のオーナー会議までに球団に提出する予定です。

 「ふざけるなといいたい。バファローズは絶対に渡さない」と話すのは神戸市在住の男性(26)。父親の影響で物心ついたときから近鉄ファンです。「合併は机の上で決めたこと。ファンや選手は置いてきぼりで、いつも弱いものが踏みにじられるんだ」と怒りは収まりません。

 「どちらのチームも好き」という佐井勝一さん(60)と啓子さん(59)夫妻は「オリックスには震災のときに励まされた。心配なのは両チームの選手のこと。一軍の選手はまだいいが、二軍やボーダーラインの選手はどうなるんだ」と心配します。またこの球場によく来るという三浦律子さん(46)は、「運営が厳しいのは分かります。でも、日本に野球はなくてはならないものでしょ。(球界が)よくなる方向で解決してほしい」といいます。

 取材中、こんなハプニングもありました。オリックスファンが外野スタンドで「絶対合併反対」「ファンの事を考えろ」と書いたプラカードを並べていたところ、警備員が近づいてきて1枚1枚裏返していったのです。

 プラカードを持っていた神戸市在住の23歳の男性は「ファンは球場でしか言う場はない。ここがダメならどこで言えっていうんですか。上が決めた合併で近鉄のファンともギクシャクしている。ファンのことを何も考えてない」と怒ります。「自分たちが意見をいう時間もない。オリックスの試合を見るのが僕らのライフスタイル。合併には絶対反対です」

 一方で「何を言っても伝わらない」「合併したら見にこない」など、球界に失望の声もありました。プロ野球は、選手やファンがあってこそ、なりたつものです。その声を球界はどう受け止めるのでしょうか。


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