日本共産党

2004年6月17日(木)「しんぶん赤旗」

日本に過去の清算求め国際大会 ソウル

アジアの 連帯願い

元「慰安婦」ら証言/右傾化に警戒


 日本、韓国、北朝鮮、中国、フィリピン、台湾、米国の民間団体代表などでつくる「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会」の第二回大会が、五月二十一、二十二の両日、ソウルで開かれました。日本からは土屋公献・元日本弁護士連合会会長を団長に七十三人が参加。団員の一人、吉田好一「国際人権活動日本委員会」代表委員に大会の様子を聞きました。

 面川 誠記者


写真

各国からの参加者に歓迎の花束を贈る韓国の元「慰安婦」=5月21日、ソウル(吉田好一氏撮影)

 大会の冒頭、基調報告した韓国の徐仲錫・大会共同組織委員長(日本の教科書を正す運動本部共同代表で成均館大学教授)は、「日本の過去の清算だけが、悔悟と和解を通じてアジアの平和と連帯をもたらす。これはアジアの現在と未来を創造するためにも緊要だ」と語りました。

 徐氏は、小泉首相の靖国神社参拝、石原東京都知事の発言、イラク派兵、有事法制などにみられる右傾化はとても理解できないと言い、「一つのアジアになるように努力してほしいと日本政府に対し切実に望む」と訴えました。

北朝鮮の被害者

 被害者の証言には、北朝鮮に住む元「慰安婦」のリ・サンオクさんも立ちました。北朝鮮の被害者が韓国に来て証言したのは初めてだそうです。リさんは十三歳のときに母が病死し、父は強制連行され、三人兄弟は離散してしまいました。十七歳になった一九四三年に、平安南道(現在の北朝鮮領内)の山あいにあった日本軍「慰安所」に連れて行かれたといいます。

 「トラックに載せられ、着いたら日本軍兵士が『金を稼がせてやろう』と、薄笑いを浮かべながら刀で脅かした。『言うことを聞かなかったら殺すぞ』と殴られ、けられ、無理やりに…。次の日からは、何人か数え切れないくらいだった。気が狂いそうで、つらくて涙が出るばかりだった。人をだまして連れてきておいて…」

靖国参拝に批判

 日本から参加した西野瑠美子・VAWW―NETジャパン共同代表は「慰安婦」問題について報告し、戦時性暴力は今でも広がっていると語っていました。米軍が占領するイラクも例外ではありません。西野さんたちが中心になって、「慰安婦」問題の解決や戦時性暴力の根絶、女性の人権確立をめざす「女たちの戦争と平和資料館」建設の準備が日本で進んでいます。

 中国の王偉民・南京大虐殺記念館副館長は「南京大虐殺から六十七年が過ぎたが、日本政府は依然として南京大虐殺を否定し、虐殺の主犯である松井石根などのA級戦犯を祭って靖国神社に参拝している。これは正義に対する宣戦布告であり平和への挑戦だ。南京市民は必ず歴史の教訓を受け継ぎ平和を守る」と強調しました。

謝罪と補償求め

 閉会式で採択された声明は、日本政府に謝罪と補償を求める具体的な取り組みを提案しました。(1)国際司法裁判所などの国際機関を通じた活動と国際的な署名活動(2)各国での被害実態調査の強化(3)靖国神社に無断で合祀(ごうし)された被害者の名誉回復(4)日本の軍国化阻止(5)教科書問題でのたたかいの連帯(6)各国政府の支援獲得(7)謝罪が明記されていない日韓基本条約の改定―です。

 声明は「二〇〇五年を日本の謝罪と補償を引き出し、アジアの平和に決定的な転機をつくる年にする」「日本政府が正しい過去の清算を通じて人類の平和の道に歩むことを再度促す」と求めています。

 日本政府は、「慰安婦」問題への国際的批判が高まった一九九五年に設立した財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」による償い金支給で解決を図ろうとしました。この支給は、九六年八月のフィリピンを皮切りに、二〇〇二年五月の韓国、台湾での支給をもって終了しています。これは国としての謝罪と補償を回避したもので、問題はなにも解決されていません。


 日本の過去清算を求める国際連帯協議会 日中韓などの民間団体が、日本の侵略戦争と植民地支配の清算を求めるために〇三年九月に中国の上海で結成した組織。二〇〇〇年十二月に「女性国際戦犯法廷」(東京)を成功させたアジアなど各国の団体は、〇一年に日本政府が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の歴史をわい曲した中学生用歴史教科書を検定合格させたことをきっかけに、日本の過去の清算を求める国際連帯活動を活発化させました。〇二年五月には、北朝鮮の平壌で「日本の過去の清算を求めるアジア大討論会」を開催し、協議会が結成されることになりました。第三回大会は九月に平壌で開かれる予定。


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