日本共産党

2004年6月16日(水)「しんぶん赤旗」

ポストポリオ症候群の男性

障害厚生年金支給へ

社保審裁決


 ポリオ(脊髄=せきずい=性小児まひ)を生後半年で発病し、五十年近く経てまた新たな障害に襲われたポストポリオ症候群(PPS)の島田一郎さん(53)=東京・江東区=に障害厚生年金が支給されることが、十五日までに分かりました。PPSによる障害者は十年間で一万二千人増えており、島田さんは「今後に続く人たちのためにも良かった」と喜びます。

 島田さんは二〇〇二年三月に社会保険事務所に申請しましたが、不支給とされました。これを不服として社会保険審査官に審査請求して、棄却処分に。さらに、去年四月に社会保険審査会に再審査請求したところ、「支給しないとした処分を取り消す」との裁決がこのほど下されました。

 これまで不支給とされた理由は、障害の原因とされるポリオの初診日が生後半年で、厚生年金(二十歳加入)に加入していなかったから、というものでした。

 島田さんは「ポリオの後遺症は右足に軽い障害として残ったが、治療は十二歳で終わっている。ばりばり働き厚生年金を納めていた時期に今度は左足にも新たな障害が現れた。医師から『PPSを否定できない』といわれた一九九七年七月七日を初診日として障害厚生年金を支給すべきだ」と主張していました。

 今回の裁決では、ポリオとPPSの因果関係を認めながらも、その間は「顕著な非連続性」と指摘。ポリオの障害が続いているとみて支給を拒むことは「制度の趣旨及び理念に照らして著しく妥当を欠く」として島田さんの主張を認めました。

 島田さんの代理人である社会保険労務士の鈴木静男さんは「この裁決が、今後に続くPPSの障害厚生年金の支給申請に、無視できない影響をあたえるでしょう」と意義を強調します。

 社会保険庁は「今回の裁決を参考にするが、今後の申請は個別に対応する」とのべつつ、専門家らの意見を聞く場を設けて、統一した見解をつくることを示唆しました。


ポリオとポストポリオ症候群

 ポリオ(脊髄=せきずい=性小児まひ)はポリオウイルスに感染することで発症します。一九六〇年ごろまでは日本でも脅威でしたが、ワクチン接種の普及で沈静化。ポリオの発症から四、五十年後に出現する筋力低下、関節痛などの二次障害をPPSといいます。PPSの原因はさまざまな説がありますが、「ポリオの持続感染による再発ではない」といわれています。


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